預金以外でできるだけ値動きを抑えてお金を運用したいと考えたとき、候補になりやすいのが「国債」です。ただし、国債には個人向け国債と市場で売買される国債があり、「10年国債の金利」と「個人向け国債・変動10年の金利」は同じものではありません。この記事では、2026年8月時点の最新金利を確認しながら、国債の仕組み、利回り、金利推移、購入先、シミュレーション、今後の考え方までわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 国債とは何か、預金や株式とは何が違うのか
  • 2026年8月の個人向け国債の最新金利
  • 変動10年・固定5年・固定3年の違い
  • 100万円購入した場合の利子シミュレーション
  • 10年国債の金利推移と今後を見るポイント
  • 国債はどこで買うのが得なのか
  • 国債を買う前に確認しておきたい注意点

そもそも国債とは?国にお金を貸して利子を受け取る仕組み

国債とは、国が資金を調達するために発行する債券です。購入する側から見ると、国に一定期間お金を貸し、その見返りとして利子を受け取り、満期になると原則として元本が返ってくる金融商品と考えるとわかりやすいでしょう。

個人が購入しやすいのは「個人向け国債」

個人向け国債は、個人でも利用しやすいよう商品設計された国債です。「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があり、毎月募集されています。

種類 満期 金利 主な特徴
変動10年 10年 半年ごとに変動 市場金利が上昇すると適用利率が上がる可能性がある
固定5年 5年 購入時から固定 満期までの利率が最初から決まる
固定3年 3年 購入時から固定 比較的短期間で満期を迎える

いずれも最低1万円から1万円単位で購入でき、利子は年2回受け取ります。また、最低金利として年0.05%が設定されています。

ただし、ニュースでよく聞く「長期金利」「10年国債利回り」は市場で取引される10年国債の利回りを指すことが多く、個人向け国債・変動10年の適用利率そのものではありません。この違いを理解しておくことが重要です。

では、実際に2026年8月現在はいくらの金利が付くのでしょうか。金利が上がった今だからこそ知っておきたい3商品の違いを次の項目で詳しく見ていきます。


2026年8月の個人向け国債金利は?変動10年・固定5年を比較

個人向け国債の利率は毎月変わります。2026年8月募集分では、3種類すべてで年1%を超える利率が設定されています。

2026年8月募集分の最新金利

商品 税引前の年利率 税引後の年利率
変動10年 第197回債 1.87% 約1.490%
固定5年 第185回債 2.06% 約1.642%
固定3年 第195回債 1.71% 約1.363%

※2026年8月5日時点。募集期間は2026年8月6日~8月31日。変動10年の1.87%は初回適用利率です。国債の利子には原則として20.315%の税金がかかります。

出典:財務省「現在募集中の個人向け国債・新窓販国債」

今回の募集分だけを比較すると、税引前の利率が最も高いのは固定5年です。ただし、「現在の利率が高い=必ず固定5年が有利」とは限りません。

変動10年は半年ごとに利率が見直されるため、将来さらに市場金利が上昇すれば受取利子が増える可能性があります。一方、固定5年は今の利率を5年間固定できる点が特徴です。

変動10年の金利はどうやって決まる?

個人向け国債「変動10年」の適用利率は、基準金利に0.66を掛けて決まります。2026年8月募集分では、基準金利が2.83%となり、適用利率が1.87%となりました。

つまり、市場の10年国債金利が変化すると、一定のルールに従って変動10年の利率にも影響が及びます。


100万円買ったら利子はいくら?国債シミュレーション

利率だけでは実際に受け取れる金額がイメージしにくいため、2026年8月募集分を100万円購入した場合で考えてみましょう。

固定5年を100万円購入した場合

固定5年の利率は年2.06%です。

100万円 × 2.06% = 年間20,600円(税引前)

利子には原則20.315%の税金がかかるため、1年間の税引後利子は概算で約16,415円です。

利率が5年間変わらないと仮定する必要はなく、固定5年は実際に満期まで同じ利率が適用されます。そのため、単純計算では5年間の税引前利子は約10万3,000円となります。

ただし、実際の初回利子は発行日から最初の利払日までの日数に応じて計算されるため、単純な年額計算と一致しない場合があります。

変動10年を100万円購入した場合

2026年8月募集分の初回適用利率1.87%が1年間続くと仮定した単純計算では、税引前利子は年間18,700円です。

ただし、変動10年は半年ごとに利率が見直されます。そのため、実際の1年後、5年後、10年後の受取利子は現時点では確定しません。

将来の金利上昇にもある程度対応したい場合には変動10年、現在の利率を一定期間確定させたい場合には固定5年や固定3年、という考え方ができます。


10年国債の金利は上昇傾向?過去の推移を確認

近年の日本の国債金利は、それ以前の超低金利期と比べて上昇しています。財務省が公表する10年利付国債の入札結果を見ると、この変化がわかります。

時期 10年国債の入札時の主な利回り
2024年8月 平均落札利回り 約0.981%
2025年8月 平均落札利回り 約1.462%
2026年8月 平均落札利回り 約2.840%

※各月の10年利付国債入札結果を比較したものであり、日々の市場価格を示すものではありません。

出典:財務省「10年利付国債の入札結果」

2026年8月4日に実施された10年利付国債の入札では、表面利率は年2.7%、平均落札利回りは2.840%でした。2024年、2025年と比較すると国債利回りの水準が大きく変化していることがわかります。

国債の利回りは今後どうなる?注目したい4つの要因

国債金利の将来を正確に予測することはできません。今後を考える場合は、「上がるか下がるか」を断定するのではなく、金利を動かす要因を確認することが大切です。

1.日本銀行の金融政策

政策金利の引き上げ観測が強まれば、市場の国債利回りが上昇する要因になることがあります。反対に、金融緩和方向への期待が強まれば国債利回りが低下する場合があります。

2.物価上昇率

物価上昇が続けば、投資家がより高い利回りを求めるため、長期金利が上昇する要因になることがあります。

3.国債の発行量と需給

国債の供給が増える一方で購入需要が弱くなると、国債価格が下落し、結果として利回りが上昇する場合があります。

4.国内外の経済情勢

景気、為替相場、海外金利、財政政策なども国債市場に影響します。そのため、「これから必ず金利が上がる」「今が金利のピーク」と決めつけることはできません。

金利だけを見て購入先を決めると、思わぬ見落としがあります。実は個人向け国債は、同じ回号なら購入する金融機関によって利率が変わる商品ではありません。では、どこで買うと有利なのでしょうか。

国債はどこで買うのが得?銀行・証券会社の違い

個人向け国債は、証券会社、銀行、郵便局などの取扱金融機関で購入できます。2026年8月募集分について財務省が公表している取扱金融機関数は873機関です。

同じ個人向け国債なら基本的な発行条件は同じ

同じ回号の個人向け国債であれば、「変動10年の金利がA証券では高く、B銀行では低い」という仕組みではありません。発行条件は国が決めています。

そのため、購入先を比較するときは金利だけでなく、次の点を見るとわかりやすくなります。

  • 口座開設・維持に手数料がかからないか
  • インターネットで購入できるか
  • 普段利用している金融機関か
  • 中途換金などの手続きがしやすいか
  • 個人向け国債キャンペーンが実施されているか

財務省も、金融機関によっては口座の開設や維持などで手数料が必要になる場合があると案内しています。購入前に各金融機関の最新条件を確認すると安心です。

国債キャンペーンは利用したほうが得?

証券会社などでは、個人向け国債の購入金額に応じて現金などを受け取れるキャンペーンが行われることがあります。

たとえば2026年7月・8月には、野村證券が個人向け国債の変動10年・固定5年を対象に、一定額以上の購入で現金を受け取れるキャンペーンを実施しています。対象金額は1,000万円以上で、固定3年は対象外とされています。

出典:野村證券「個人向け国債キャンペーン」(2026年8月時点)

ただし、キャンペーンは期間、対象商品、最低購入額、プレゼント条件が頻繁に変更されます。「キャンペーンがある金融機関が常に最も得」とは限りません。

数万円~数百万円程度で購入する場合にはキャンペーン対象にならないケースもあるため、特典だけでなく、使いやすさや手数料も含めて比較することが大切です。

個人向け国債は途中で解約できる?

個人向け国債は、原則として発行から1年が経過すれば、1万円単位で中途換金できます。

中途換金した場合も額面金額100円につき100円で換金されますが、直前2回分の各利子相当額をもとに算出した「中途換金調整額」が差し引かれます。

つまり、「途中で換金すると元本が市場価格によって大きく値下がりする」という一般的な債券とは仕組みが異なる一方、受け取った利子の一部が実質的に差し引かれる点には注意が必要です。

また、発行から1年間は原則として中途換金できません。ただし、保有者本人が亡くなった場合や、対象となる大規模自然災害で被害を受けた場合には例外があります。

「個人向け国債」と市場で売買する国債はリスクが違う

国債について理解するうえで特に重要なのが、「個人向け国債」と「市場で売買される国債」を分けて考えることです。

個人向け国債

個人向け国債は、満期時も中途換金時も額面100円につき100円が基本です。そのため、市場金利の変化によって元本部分の換金価格が上下する仕組みではありません。

一般の利付国債

証券会社などで購入できる一般の国債は市場価格が変動します。購入後に市場金利が上昇すると保有している国債の市場価格が下落することがあり、満期前に売却すると損失が出る可能性があります。

「国債だから絶対に元本割れしない」とひとまとめに理解せず、何という商品を購入するのか確認する必要があります。

国債を買うメリットとデメリット

国債は安全性を重視した資産運用の候補になりますが、メリットだけで判断するのではなく、弱点も理解しておきましょう。

主なメリット

  • 個人向け国債は1万円から購入できる
  • 個人向け国債は最低金利年0.05%が設定されている
  • 変動10年なら市場金利上昇時に適用利率が上がる可能性がある
  • 固定5年・固定3年なら受取金利をあらかじめ確定できる
  • 発行から1年経過後は原則として中途換金できる

主なデメリット・注意点

  • 株式や投資信託などと比べ、大きな値上がり益は期待しにくい
  • 個人向け国債は原則1年間、中途換金できない
  • 中途換金時には中途換金調整額が差し引かれる
  • 固定金利型では、購入後に市場金利が大きく上昇しても利率は上がらない
  • 物価上昇率が国債の税引後利回りを上回ると、実質的な購買力が低下する可能性がある

結局、国債は買うべき?向いているケースを整理

国債を一律に「買うべき」「買わないほうがよい」と判断することはできません。資金をいつ使う予定なのか、どの程度の値動きを許容できるのかによって適した金融商品は変わるためです。

目的・考え方 国債との相性
できるだけ値動きを抑えて運用したい 個人向け国債を検討しやすい
数年以上使う予定のない円資産を運用したい 候補になりやすい
今後の金利上昇にも対応したい 変動10年が選択肢
現在の金利を数年間固定したい 固定5年・固定3年が選択肢
1年以内に使う可能性が高い資金 個人向け国債には向きにくい
長期的に大きな資産成長を目指したい 国債だけでは目的に合わない場合がある

特に、生活費や近いうちに使う予定のお金まで国債に回すのは慎重に考えたいところです。個人向け国債は原則として発行後1年間換金できないため、急な出費に備える現金・預金とは役割が異なります。

一方で、すぐに使う予定がなく、「価格変動をできるだけ避けながら円建てで利子を受け取りたい」という資金については、個人向け国債が選択肢になる可能性があります。


国債選びで迷ったら「金利」だけでなく資金の目的から考える

2026年8月募集分の個人向け国債は、変動10年が年1.87%、固定5年が年2.06%、固定3年が年1.71%となっています。以前の超低金利期と比べると、国債を資産運用の候補として検討しやすい金利水準になっています。

ただし、現在最も利率が高い商品を選べばよいとは限りません。今後金利が上昇すれば変動10年が有利になる可能性がある一方、金利が低下すれば現在の利率を固定できる固定5年などが有利になる可能性があります。

「何%か」だけを見るのではなく、いつ使うお金なのか、何年間運用できるのか、途中で換金する可能性があるのか、どの程度の収益を求めるのかを整理してから選ぶことが重要です。

主な確認資料

  • 財務省「個人向け国債 商品概要」
  • 財務省「現在募集中の個人向け国債・新窓販国債」
  • 財務省「個人向け国債の金利についてのよくある質問」
  • 財務省「10年利付国債の入札結果」
  • 財務省「取扱金融機関一覧」
  • 野村證券「個人向け国債キャンペーン」

※金利・キャンペーン等の情報は2026年8月7日時点で確認しています。募集条件やキャンペーン内容は変更される場合があるため、購入時には財務省および取扱金融機関の最新情報をご確認ください。