追証を解消・解除する方法
一般に「追証を解除する」と表現されますが、証券会社の画面では「追証を解消する」と記載されることが多くあります。
主な解消方法は次の2つです。
- 追加保証金を入金・振替する
- 信用建玉の全部または一部を反対売買で決済する
証券会社によっては、代用有価証券の追加差し入れや、別口座からの振替を利用できる場合もあります。
現金を入金する
証券会社が指定した口座へ、追証額以上の現金を入金します。
銀行連携サービスを利用していても、提携銀行の普通預金へ入金しただけでは追証が解消されない場合があります。証券口座や信用保証金へ実際に振り替える必要があるかを確認してください。
信用建玉を反対売買する
信用買い建玉は売却、信用売り建玉は買い戻しによって決済できます。
複数の証券会社では、決済した建玉代金の20%相当額を追証解消額へ充当する仕組みを採用しています。
例えば、50万円分の建玉を反対売買すると、10万円が追証解消額として計算される場合があります。
50万円×20%=10万円
実際の充当率や反映時刻は証券会社によって異なります。
決済益では追証が消えない場合がある
含み益のある建玉を決済して利益が確定しても、その決済益が直ちに追証額へ充当されない場合があります。
反対売買を行う場合は、「決済後に利益が出るか」だけでなく、「建玉代金の何%が追証解消へ使われるか」を確認してください。
株価が回復しても自然解消しない
追証発生後に株価が戻り、リアルタイムの保証金維持率が20%を上回っても、すでに確定した追証は自動的に消えない証券会社が一般的です。
相場の回復だけを待たず、画面に表示された追証額を入金するか、指定された金額以上の建玉を決済する必要があります。
追証はいつまでに払う?
追証の期限は、証券会社によって異なります。発生日の翌営業日を期限とする会社もあれば、翌々営業日の正午までとする会社もあります。
期限は「入金手続きをした時刻」ではなく、証券会社が追証解消を確認できた時刻で判定される場合があります。銀行振込の反映が遅れると、期限内に手続きをしても間に合わない可能性があります。
主要証券会社の追証ルール比較
以下は、2026年7月30日時点で各社が公表している国内株式信用取引の主なルールです。商品やコース、口座状況によって異なる場合があるため、実際には口座画面の表示を優先してください。
| 証券会社 | 主な発生水準 | 主な解消期限 | 未解消時の主な対応 |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | 委託保証金率20%未満 | 原則として発生日の翌営業日までに解消。発生日から2営業日後の12時までに未解消の場合は強制決済対象 | 同日の後場寄付などで全建玉を反対売買 |
| 楽天証券 | 最低保証金率20% | 発生日の翌々営業日12時まで | 代用有価証券の売却または全建玉の反対売買 |
| マネックス証券 | 保証金維持率20%未満 | 発生日の翌営業日24時まで | 原則として期限翌営業日の寄付で全建玉を反対売買 |
| 松井証券 | 維持率20%未満 | 10%以上20%未満は翌々営業日11時30分、10%未満は翌営業日11時30分 | 未解消の場合は口座内の全信用建玉を任意決済 |
同じ20%を追証ラインとしていても、入金期限、強制決済の時刻、回復させる必要がある保証金率は同じではありません。
SBI証券で追証が発生した場合
SBI証券では、国内信用取引の委託保証金率が20%を下回ると追証が発生します。追証額は発生日の夕方に概算表示され、翌営業日の朝に確定します。
追証は、SBI証券のウェブサイトにある「口座サマリー」「信用建余力」や、株アプリなどで確認できます。
SBI証券の主な解消方法
- SBI証券口座へ追証額以上を入金する
- 信用建玉の全部または一部を反対売買する
- 対応する別口座から当日扱いで振り替える
SBIハイブリッド預金やハイパー預金などの銀行側口座へ入金しただけでは、追証が解消されない場合があります。必ず証券口座側の追証表示が「解消」となったことを確認してください。
発生日から2営業日後の正午までに解消が確認されない場合、原則として同日の後場寄付で全建玉が強制決済されます。
追証と不足金の違い
追証と不足金は、どちらも入金を求められる状態ですが、発生する理由が異なります。
| 比較項目 | 追証 | 不足金 |
|---|---|---|
| 発生理由 | 保証金維持率が最低水準を下回った | 決済代金や確定損失を支払う現金が足りない |
| 損失の状態 | 未決済の評価損が原因になる場合がある | 決済済みの損失など、確定した支払いが中心 |
| 主な解消方法 | 入金または建玉の反対売買 | 原則として必要な現金の入金 |
| 維持率回復の影響 | 発生後は自然解消しない場合が多い | 株価が戻っても支払義務は消えない |
追証と不足金が同時に発生する場合
追証を解消するために建玉を決済すると、評価損が確定します。口座内の現金が確定損失を支払うには足りなければ、不足金も発生します。
例えば、追証10万円と不足金20万円が同時に発生している口座へ10万円を入金しても、入金額が不足金へ優先的に充当され、追証が解消されない場合があります。
追証だけを見て入金額を決めず、次の項目を確認してください。
- 追加保証金額
- 預り金不足額
- 入金必要額の合計
- それぞれの期限
- 入金後に必要な振替操作
追証の強制決済はいつ行われる?
強制決済は、追証の解消期限を過ぎた直後に必ず行われるとは限りません。証券会社のルールによって、当日の後場寄付、期限翌営業日の寄付、取引時間中の任意の時刻などに行われます。
強制決済の注文は、一般に成行注文として発注されます。投資家は決済価格を指定できません。
寄付で必ず約定するとは限らない
強制決済注文が発注されても、次のような場合は直ちに約定しない可能性があります。
- 売り建玉の銘柄がストップ高になっている
- 買い建玉の銘柄がストップ安になっている
- 売買停止中である
- 注文数量に対して反対注文が不足している
約定するまで損失が拡大する可能性があり、証券会社が発注した時点の価格で損失が確定するとは限りません。
強制決済後も支払いが残る
強制決済による売却・買戻し後、損失、金利、手数料などを保証金で全額支払えなければ不足金が残ります。
強制決済は借金を免除する制度ではありません。残った不足金には支払義務があり、証券会社が代用有価証券を売却して充当する場合もあります。
追証を払えない場合はどうなる?
追証を払えないことが判明した時点で、利用している証券会社へ速やかに連絡してください。連絡をしなくても、期限は原則として延長されません。
最初に確認すること
- 追証額が概算か確定額か確認する
- 不足金が同時に発生していないか確認する
- 入金・建玉決済の期限を確認する
- 建玉決済で必要額を解消できるか確認する
- 入金の反映時刻と銀行の受付時間を確認する
現物株式を売却して資金を用意しようとしても、売却代金の受渡日が追証期限に間に合わない場合があります。売却注文を出しただけで追証が解消されるとは限りません。
返済できない不足金が残った場合
強制決済後に多額の不足金が残り、すぐに支払えない場合も、放置してはいけません。証券会社へ状況を伝え、支払いに関する案内を確認してください。
生活に重大な影響が生じるほどの債務が残った場合は、早い段階で弁護士や法テラスなどへ相談することも検討してください。新たな借入れや別の高リスク取引で損失を取り戻そうとすると、負担がさらに拡大する可能性があります。
追証なしとは?
現物株式を自己資金だけで購入する場合、信用取引の委託保証金を使用しないため、通常は株式信用取引の追証は発生しません。
一方、「追証なし」と表示されるFX、CFD、暗号資産などの商品でも、元本が保証されるわけではありません。ロスカットがあっても、相場が急変すると指定水準で決済できず、口座残高を超える損失が発生する可能性があります。
「億マネNAVI」などの表記について
「億マネNAVI」は、国内株式信用取引における法令上・取引所規則上の制度名ではありません。個別のウェブサイト名や広告上の表記として表示されている場合は、運営会社、金融商品取引業者の登録、対象商品、手数料、損失時の債務の扱いを確認してください。
「追証なし」「絶対に借金にならない」などの一部の文言だけで安全性を判断することはできません。
追証の本当の危険は、本人の損失だけでなく、強制決済が市場の売りを増幅させる可能性がある点です。次のページでは追証売り・追証祭り、キオクシアや韓国関連の注意点を解説します。





