制度信用取引とは、証券取引所が選定した銘柄を対象に、一定の共通ルールに基づいて行う信用取引です。現金だけで株式を買う現物取引とは異なり、証券会社から資金や株式を借りるため、買方金利や貸株料が発生し、制度信用売りでは逆日歩を負担する場合があります。また、返済期限は最長6か月であり、期限までに決済しなければ強制返済となる可能性があります。本記事では、国内信用取引の基本、制度信用取引と一般信用取引の違い、対象銘柄、金利の計算、逆日歩、クロス取引、SBI証券の取扱例、メリット・デメリットまで、初心者にもわかりやすく解説します。

この記事の目次
- 国内信用取引の基本的な仕組み
- 制度信用取引の意味と対象銘柄
- 制度信用取引と一般信用取引の違い
- 制度信用取引の期限と決済方法
- 買方金利・貸株料・逆日歩の計算
- 制度信用を使ったクロス取引の注意点
- SBI証券における一般信用との違い
- 制度信用取引のメリットとデメリット
- 取引前に確認すべきチェックポイント
国内信用取引とは?資金や株式を借りて行う取引
国内信用取引とは、証券会社へ委託保証金を差し入れ、買付資金や売却する株式を借りて、日本の取引所に上場する株式などを売買する取引です。
信用取引には、主に次の2つの方法があります。
- 信用買い:証券会社から買付資金を借りて株式を購入する
- 信用売り:証券会社から株式を借りて売却し、後から買い戻す
信用買いでは、株価が上昇した後に返済売りをすると、売却代金と買付代金の差額が利益になります。信用売りでは、株価が下落した後に返済買いをすると、売付代金と買戻代金の差額が利益になります。
ただし、株価が予想と反対へ動けば損失が発生します。信用取引では委託保証金を上回る金額を取引できるため、差し入れた保証金を超える損失が生じる可能性があります。
信用取引に必要な委託保証金
通常の国内信用取引では、新規建ての約定代金に対して30%以上、かつ最低30万円の委託保証金が必要です。
例えば、100万円分の信用取引を行う場合、通常基準では30万円以上の保証金が必要です。
100万円×30%=30万円
ただし、証券会社は取引所基準より高い保証金率を設定できます。また、信用取引が過熱した銘柄では、委託保証金率を50%以上へ引き上げる増担保規制が実施される場合があります。
制度信用取引とは?
制度信用取引とは、対象銘柄、返済期限、逆日歩、権利処理などの基本条件が、証券取引所の規則によって定められている信用取引です。
取引所が一定の基準を満たしたと判断した上場銘柄だけが対象になります。すべての上場株式を制度信用で取引できるわけではありません。
制度信用取引の主な特徴
- 対象銘柄は証券取引所が選定する
- 返済期限は最長6か月
- 証券金融会社を通じた貸借取引を利用できる
- 制度信用売りでは逆日歩が発生する場合がある
- 配当や株式分割などの権利処理は取引所ルールに基づく
- 証券会社を変更しても基本的な制度の枠組みは共通する
制度信用取引の具体的な金利、貸株料、売買手数料、注文受付条件は証券会社ごとに異なります。取引所が定めるのは制度の基本部分であり、投資家が実際に負担するすべての費用が統一されているわけではありません。
制度信用銘柄と貸借銘柄の違い
制度信用取引の対象には、制度信用銘柄と貸借銘柄があります。どちらも取引所が定める基準に基づいて選定しますが、証券金融会社を利用して調達できるものが異なります。
| 区分 | 主な特徴 |
|---|---|
| 制度信用銘柄 | 証券金融会社から信用買いに必要な資金を調達できる銘柄 |
| 貸借銘柄 | 信用買いの資金に加え、信用売りに必要な株式も証券金融会社から調達できる銘柄 |
一般に、制度信用で信用売りを行う場合は、貸借銘柄であることが重要です。ただし、証券会社が独自に株式を調達できる場合など、実際の売建可否は証券会社によって異なることがあります。
証券会社の注文画面で「制度買」「制度売」の両方が表示されるかを確認してください。取引所が銘柄を選定していても、証券会社独自の規制によって新規注文が停止される場合があります。
制度信用銘柄は入れ替わることがある
取引所は、上場期間、株主数、売買高、流通株式数などの基準に基づき、制度信用銘柄や貸借銘柄を選定します。
基準を満たさなくなった場合や上場廃止が決まった場合などには、選定が取り消されることがあります。制度信用建玉を保有している途中で取扱条件が変わる可能性もあるため、取引所と証券会社からのお知らせを確認しましょう。
制度信用取引と一般信用取引の違い
一般信用取引は、対象銘柄、返済期限、金利、貸株料、権利処理などを、投資家と証券会社との契約で決める信用取引です。
| 比較項目 | 制度信用取引 | 一般信用取引 |
|---|---|---|
| 対象銘柄 | 取引所が選定した銘柄 | 上場銘柄などから証券会社が選定 |
| 返済期限 | 最長6か月 | 無期限、短期、1日など証券会社が設定 |
| 買方金利 | 証券会社が設定 | 証券会社・取引区分ごとに設定 |
| 売建時の貸株料 | 証券会社が設定 | 証券会社・取引区分ごとに設定 |
| 逆日歩 | 株不足時に発生する場合がある | 制度信用の逆日歩は発生しない |
| 売建在庫 | 貸借取引を利用できる | 証券会社が確保した在庫の範囲内 |
| 権利処理 | 取引所規則に基づく | 証券会社との契約に基づく |
一般信用は全銘柄を売建できるわけではない
一般信用取引は、制度上は原則として幅広い上場銘柄を対象にできますが、実際に取り扱う銘柄は証券会社が決定します。
特に一般信用売りでは、証券会社が貸し出せる株式を確保する必要があります。人気の株主優待銘柄などは在庫がなくなり、新規売建ができないことがあります。
一般信用なら必ず低コストとは限らない
一般信用売りでは制度信用の逆日歩は発生しませんが、通常の貸株料や、銘柄ごとに設定される特別な貸株料が必要になる場合があります。
短期区分の貸株料が制度信用より高く設定されることもあります。制度信用と一般信用を比較するときは、逆日歩の有無だけでなく、金利、貸株料、保有日数、返済期限を確認しましょう。
制度信用取引の返済期限は最長6か月
制度信用取引の返済期限は、新規建てから最長6か月です。信用買いと信用売りのどちらにも期限があります。
実際に投資家が自分で返済注文を出せる最終日は、受渡日や休日の関係から、6か月目の応当日より前の営業日に設定されます。
例えば、SBI証券では、新規建約定日から6か月目の応当日の前営業日などを返済期限としています。応当日が休日の場合や、同じ日付が存在しない月の場合には期限が調整されます。
期限までに決済しないとどうなる?
返済期限までに反対売買、現引き、現渡しなどを行わなければ、証券会社が建玉を強制的に決済します。
強制決済は、投資家が希望する価格で行われるわけではありません。成行注文などで処理される場合があり、相場状況によって損失が拡大する可能性があります。通常のインターネット手数料とは異なる手数料が適用される証券会社もあります。
一般信用の「無期限」にも終了リスクがある
一般信用の無期限取引は、制度信用のような6か月期限が設けられていない商品です。
ただし、永久に保有できることを保証するものではありません。上場廃止、株式交換、企業再編、証券会社の在庫事情などにより、返済期限が設定されたり、強制返済を求められたりする場合があります。
制度信用の本当のコストは売買手数料だけではありません。次のページでは、金利・貸株料・逆日歩の計算とクロス取引の注意点を詳しく解説します。


