米国債が満期になったらどうなる?基本的には自動償還
個別の米国債を満期まで保有すると、原則として額面金額が償還されます。通常、投資家が満期日に市場で売却注文を出す必要はありません。
ただし、証券会社によって償還金を米ドルで受け取るのか、日本円へ自動的に交換して受け取るのかという設定が異なる場合があります。
例えばSBI証券では、対象となる外貨建債券について外貨決済サービスがあり、利金や償還金を外貨で受け取れる一方、「円貨で受取」を指定した場合には円貨への交換処理が行われる仕組みが案内されています。商品によって円貨決済のみとなる場合もあるため、保有商品の条件確認が必要です。:contentReference[oaicite:14]{index=14}
マネックス証券でも、外貨建債券の利金・償還金を外貨預かり金で受け取る仕組みが用意されています。:contentReference[oaicite:15]{index=15}
満期時に円高だったらどうする?
米ドルで償還金を受け取れる証券会社・商品であれば、満期だからといって必ず同日に日本円へ交換しなければならないわけではありません。
そのまま米ドルで保有したり、別の米ドル建て商品へ再投資したり、時期を分けて円へ交換したりする選択肢があります。
ただし、米ドルで保有し続ければ為替リスクも残り続けます。「円高だからドルのままにしておけば必ず元に戻る」と保証されているわけではありません。
円安で満期を迎えた場合
購入時より円安・ドル高になっていれば、同じ米ドル額でも円換算価値は増加します。一方、将来円高へ戻る可能性もあるため、満期後も米ドルで持ち続けるか、円へ交換するかは、今後の資金用途を基準に考える必要があります。
米国債ETFとは?個別債との違いを理解しよう
米国債へ投資する方法には、個別の米国債を購入する以外に米国債ETFがあります。
ETFは複数の米国債などを組み入れ、一定の債券指数への連動を目指す上場投資信託です。東京証券取引所に上場している商品であれば、日本株と同様に市場が開いている時間に円で売買できます。
個別米国債とETFの最大の違いは「満期」
| 個別の米国債 | 米国債ETF | |
|---|---|---|
| 満期 | 決まっている | ETF自体には通常、個別債のような満期がない |
| 満期時 | 額面が償還される | 一定年限の債券へ継続的に入れ替える |
| 市場価格 | 途中売却時に変動 | 常時変動 |
| 為替 | 米ドル建てなら直接影響 | 為替ヘッジあり・なしの商品がある |
| コスト | 売買価格・為替コストなど | 売買コストのほか信託報酬等 |
「10年米国債ETF」を10年間持てば額面で償還される、という仕組みではありません。ETFでは保有債券の入れ替えが行われるため、売却時の市場価格によって利益または損失が決まります。
為替ヘッジあり米国債ETFとは?
米ドルと円の為替変動による影響を抑えたい場合、円への為替ヘッジを行う米国債ETFも選択肢になります。
東京証券取引所には、例えば次の商品が上場しています。
- 1482 iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(為替ヘッジあり)
- 2621 iシェアーズ 米国債20年超 ETF(為替ヘッジあり)
1482は残存期間7年以上10年未満の米国債を対象とし、米ドルと円の為替変動リスク低減を目指しています。2621は満期20年超の米国債を対象としています。いずれも2026年時点でNISAの成長投資枠対象として案内されています。:contentReference[oaicite:16]{index=16}
為替ヘッジありでも為替リスクが完全にゼロになるわけではない
為替ヘッジは為替変動による影響の低減を目指す仕組みであり、完全に為替変動を消すものではありません。
さらに、米ドル金利が円金利より高い状況では、金利差などを背景とした為替ヘッジコストが運用成績へ影響することがあります。ブラックロックも、為替ヘッジによりすべての為替変動を回避できるわけではなく、金利差などによるヘッジコストが生じると説明しています。:contentReference[oaicite:17]{index=17}
為替ヘッジなしETFもある
為替ヘッジを行わず米国債へ投資するETFもあります。例えば「1656 iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF」は為替ヘッジなしの商品です。円安になれば為替変動がプラス方向へ働くことがありますが、円高の場合はマイナス方向へ働きます。:contentReference[oaicite:18]{index=18}
為替ヘッジの有無は「どちらが必ず有利」というものではありません。米ドル資産を持ちたいのか、主に米国金利へ投資したいのかによって考え方が異なります。
米国債の税金|日本居住者はどう課税される?
日本の税制上、外国国債は「特定公社債」に含まれます。米国債の利子、売却益、償還による利益には日本の税金が関係します。:contentReference[oaicite:19]{index=19}
米国債の利息にかかる税金
特定公社債の利子については、原則として20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)が課税されます。特定公社債の利子は申告分離課税の対象ですが、一定の場合には確定申告をしないことも選択できます。:contentReference[oaicite:20]{index=20}
売却益・償還益にかかる税金
一定の米国債の売却や償還によって生じた利益は、「上場株式等に係る譲渡所得等」として申告分離課税の対象になります。税率は原則20.315%です。公社債の償還金についても、一定の例外を除き、償還金を譲渡所得等の収入金額とみなして課税する仕組みがあります。:contentReference[oaicite:21]{index=21}
特定口座・源泉徴収ありなら確定申告不要になる場合がある
米国債を特定口座で取り扱える証券会社の場合、特定口座の「源泉徴収あり」を利用することで、証券会社が税額計算と源泉徴収を行い、原則として確定申告を不要にできる場合があります。:contentReference[oaicite:22]{index=22}
ただし、複数の証券会社にまたがる損益を通算したい場合や、譲渡損失を翌年以降へ繰り越したい場合などには確定申告が必要になります。
米国債の損失は損益通算できる場合がある
上場株式等に係る譲渡損失については、一定の条件を満たせば、確定申告により上場株式等の配当や特定公社債の利子などと損益通算できます。
さらに通算しても残った損失は、所定の確定申告を継続することにより、翌年以後3年間繰り越せる制度があります。:contentReference[oaicite:23]{index=23}
税務上の扱いは口座区分、取引方法、外国税、他の金融商品の損益などによって変わる場合があります。個別の税額や確定申告の要否については、国税庁の最新情報、税務署または税理士などへ確認してください。
米国債を購入する前のチェックリスト
- 表面利率ではなく満期利回りも確認したか
- 満期まで使う予定のない資金か
- 途中売却した場合の価格変動を理解しているか
- 2年・10年・20年・30年の違いを理解したか
- 購入時のドル円相場だけで判断していないか
- 円高になった場合の円換算損失を許容できるか
- 円貨決済時の為替コストを確認したか
- 満期時に米ドル・円のどちらで受け取るか確認したか
- 税金と特定口座の扱いを確認したか
- ETFの場合は為替ヘッジの有無と信託報酬を確認したか
まとめ|米国債は「高い利回り」だけでなく期間・為替・満期をセットで考える
2026年9月1日時点で米国財務省が公表している2026年8月31日のパー・イールド・カーブでは、2年4.34%、10年4.75%、20年5.24%、30年5.25%となっています。ただし、この数字は個別の米国債を実際に購入するときの確定利回りではありません。:contentReference[oaicite:24]{index=24}
実際にネット証券で米国債を選ぶときは、償還日、表面利率、購入価格、満期利回り、最低買付額、為替コストを確認しましょう。
2年債は比較的短期間で満期を迎えるため長期債より価格変動を抑えやすい一方、満期後の再投資条件が変わる可能性があります。10年債は現在の金利環境を長く固定できる反面、2年債より金利変動による価格変動が大きくなります。20年・30年債ではその特徴がさらに強くなります。
また、日本居住者にとって非常に重要なのが為替です。ドル建てで利益が出ても、購入時より大幅な円高になれば円換算の収益が減る可能性があります。反対に円安は円換算額を押し上げることがあります。
為替変動を抑えたい場合には為替ヘッジあり米国債ETFという方法もありますが、ヘッジコストやETFの価格変動があり、個別米国債のように「自分の債券が満期になれば額面で償還される」という商品ではありません。
米国債には、すべての方に共通する「絶対の買い時」や「最もおすすめの年限」はありません。将来使う時期が決まっている資金なら、その時期と満期を合わせること、時期を判断しにくければ購入時期や満期を分散することなど、自分の資金計画を基準に判断することが大切です。
<参考サイト>U.S. Department of the Treasury / TreasuryDirect / 国税庁 / 金融庁 / FINRA / SBI証券 / 楽天証券 / マネックス証券 / ブラックロック・ジャパン / Reuters





