年間投資枠は無理に使い切る必要はない
年間投資枠は「投資しなければならない金額」ではなく、非課税で投資できる上限です。使い切らなかったからといって、手数料や税金などのペナルティが発生するわけではありません。
未使用枠を翌年へ持ち越せないため、年末になると使い切りたくなるかもしれません。しかし、生活費や近いうちに使う予定のお金まで投資に回すと、相場が下落したときに不利なタイミングで売却せざるを得なくなる可能性があります。
使い切りよりも資金の目的を優先する
投資に回す金額は、少なくとも次の資金と分けて考えることが重要です。
- 毎月の生活費
- 病気や失業などに備える予備資金
- 数年以内に使う教育費や住宅関連費
- 自動車の購入費や修繕費
- 納税や保険料の支払いに必要な資金
NISAには元本保証がありません。年間投資枠を満額利用しても、投資した商品の価格が下がれば損失が生じる可能性があります。
年間投資額の平均より継続できる金額を重視する
年間投資額の平均は、調査対象や年齢、収入、保有資産、投資経験によって大きく異なります。そのため、他人の平均額をそのまま自分の目標にするのは適切とは限りません。
まずは月々の積立可能額を決め、12倍することで年間投資額の目安を計算できます。
| 毎月の投資額 | 年間投資額 |
|---|---|
| 1万円 | 12万円 |
| 3万円 | 36万円 |
| 5万円 | 60万円 |
| 10万円 | 120万円 |
賞与や臨時収入があったときだけ成長投資枠を利用する方法もあります。毎月一定額を積み立てなければならないわけではなく、家計の状況に応じて利用額を調整できます。
主婦・主夫でも年間投資枠は利用できる
NISAは、口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上の日本国内の居住者等であれば、職業や給与収入の有無にかかわらず利用できます。そのため、専業主婦・専業主夫、パート勤務、個人事業主、会社員などで年間投資枠の上限が変わることはありません。
NISAの投資枠は世帯単位ではなく、個人単位で管理されます。夫婦がそれぞれ利用条件を満たしてNISA口座を開設している場合、それぞれに年間最大360万円の投資枠があります。
ただし、配偶者から受け取ったお金を投資に使用すると、資金移動の方法や金額によっては贈与税の検討が必要になる場合があります。生活費として受け取ったお金であっても、預金や株式などの購入資金に回した場合は、必ずしも生活費として非課税になるとは限りません。まとまった資金を夫婦間で移す場合は、税務署や税理士などの専門家に確認すると安心です。
年間投資枠の金額を自分で変更することはできない
つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円という年間上限は制度によって定められているため、利用者が上限そのものを増減させることはできません。
一方で、毎月の積立金額や積立日、購入する商品は、金融機関が提供する範囲内で変更できます。途中で家計が厳しくなった場合は、積立金額を減額したり、一時的に積立を停止したりすることも可能です。
SBI証券で年間投資枠を管理するときのポイント
SBI証券では、投資信託の積立注文において、NISA投資可能枠より積立設定額が大きくなる場合に利用できる機能があります。
NISA枠ぎりぎり注文
「NISA枠ぎりぎり注文」を設定すると、積立金額が残りのNISA投資可能枠を上回る場合に、注文金額を投資可能枠の範囲内まで引き下げて発注できます。
この機能を設定していない場合、投資可能枠より注文金額が大きいと、注文が発注されず失効することがあります。
課税枠シフト注文
成長投資枠の積立では、条件に応じて「課税枠シフト注文」を設定できます。NISA投資枠を超える積立注文について、特定口座または一般口座で発注するための機能です。
つみたて投資枠では課税枠シフト注文を利用できません。また、商品によって利用できる機能が異なる場合があるため、積立設定画面の内容を確認してください。
楽天証券で年間投資枠を管理するときのポイント
楽天証券のNISAつみたて投資枠では、年間投資枠を超える積立注文が出る場合に、注文金額を残りの枠に合わせて自動調整する「ピッタリ注文」があります。
例えば、つみたて投資枠が残り3万円の状態で10万円の積立注文が予定されている場合、対象となる注文を3万円に減額して、年間投資枠に収まるよう調整します。
年の途中から始める場合は使い切り設定も確認
年の途中から積立を始めた場合、通常の月額設定だけでは年間120万円に届かないことがあります。楽天証券では、証券口座からの引き落としを利用して、残りのつみたて投資枠を追加購入する「NISAつみたて投資枠使い切り設定」が用意されています。
ただし、使い切り設定を利用しても、必要な資金が口座に入っていなければ注文は成立しません。また、枠を使い切ることが自分の投資方針に合っているかを先に確認する必要があります。
年間投資枠で間違えやすいポイント
- 年間投資枠は1月から12月までで管理される
- 年末の買付は注文日ではなく受渡日を確認する
- 未使用の年間投資枠は翌年へ持ち越せない
- 商品を売却しても当年の年間投資枠は復活しない
- 売却後に翌年復活するのは非課税保有限度額
- 復活額は売却価格ではなく取得金額で計算される
- つみたて投資枠と成長投資枠の上限は別々に管理される
- 年間投資枠を超えた注文の処理は金融機関や設定で異なる
- 年間360万円は目標額ではなく制度上の上限
年間投資枠は家計に合った範囲で計画的に利用しよう
NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、併用すれば年間最大360万円です。期間は1月から12月までで、使わなかった枠を翌年へ持ち越すことはできません。
一方、NISA口座の商品を売却した場合は、その取得金額に相当する非課税保有限度額が翌年以降に復活します。ただし、売却した年の年間投資枠が再び使えるようになるわけではない点には注意が必要です。
年間投資枠を満額使うことよりも、生活資金を確保し、価格変動に耐えられる範囲で長く続けることが重要です。証券会社の画面で残りの年間投資枠や利用予定額を確認しながら、自分の家計と目的に合った金額を設定しましょう。
<参考サイト>
金融庁 NISA特設ウェブサイト / 国税庁 タックスアンサー / SBI証券 / 楽天証券 / Unsplash


