投資一任契約締結とは?契約の流れ・手数料・NISA・解約・確定申告までわかりやすく解説

投資一任契約を解約する方法

投資一任契約の全部解約は、ログイン後の専用画面、書面、担当者への連絡など、サービスごとに定められた方法で申し込みます。

一般的な流れは次のとおりです。

  1. 運用資産の評価額と含み損益を確認する
  2. 解約手数料や成功報酬の有無を確認する
  3. 全部解約または一部換金を申し込む
  4. 運用会社が保有商品を売却する
  5. 売却代金の受渡しを待つ
  6. 手数料や税金を精算する
  7. 証券総合口座へ解約代金が入金される
  8. 必要に応じて銀行口座への出金手続きを行う

一部換金と全部解約の違い

一部換金では、契約を残したまま運用資産の一部を現金化します。ただし、換金後の残高が最低運用金額を下回る場合や、資産の大部分を換金する場合は、全部解約として処理されることがあります。

全部解約では保有商品をすべて売却し、投資一任契約や専用口座が終了・閉鎖される場合があります。

クーリング・オフは一般に適用されない

投資一任契約は、投資助言契約に設けられているクーリング・オフとは扱いが異なり、一般にクーリング・オフ制度は適用されません。

申込み後に取り消せる期間や条件が設けられている場合もありますが、法定のクーリング・オフとは別の取扱いです。契約締結前交付書面で確認してください。

SBI証券の投資一任サービス

SBI証券では、投資一任型のおまかせ運用サービスとしてSBIラップが提供されています。2026年7月17日時点では、複数の運用コースがあり、投資対象や運用方法、手数料が異なります。

SBIラップでは、原則として顧客がラップ口座内の投資信託を個別に指定して売買することはできません。運用方針に基づいて購入、売却、資産配分の変更が行われます。

SBIラップで確認したい点

  • 選択するコースの投資対象と運用方法
  • 投資一任手数料
  • 投資対象ファンドの信託報酬
  • 信託財産留保額の有無
  • NISAの対象外であること
  • 一部換金の最低金額
  • 全部解約でラップ口座が閉鎖されること

公式案内では、一定時刻までの換金・解約申込みについて、原則として6営業日後を目安に換金されるコースがあります。海外市場の休場日などによって日数が延びる場合があります。

楽天証券の投資一任サービス

楽天証券では、投資一任サービスとして楽ラップが提供されています。顧客と楽天証券が投資一任契約を締結し、診断結果などに基づく運用コースで投資信託を運用します。

楽ラップでは、固定報酬型と成功報酬併用型の手数料コースが用意されています。成功報酬併用型では、運用成果によって解約時にも成功報酬が発生する場合があります。

楽ラップで確認したい点

  • 運用コースごとの資産配分
  • 固定報酬型と成功報酬併用型の違い
  • 投資信託から差し引かれる間接費用
  • NISAでは購入できないこと
  • 契約口座を契約中に変更できないこと
  • 一部減額と全部解約の条件
  • クーリング・オフ制度が適用されないこと

楽ラップでは、解約手数料や違約金はありません。ただし、成功報酬併用型では運用状況に応じた成功報酬が精算される場合があります。

公式案内では、減額・解約代金は、原則として換金手続開始日から10営業日以内に証券総合口座へ入金されます。ファンドの休業日などによって10営業日を超える場合があります。

マネックス証券の投資一任口座

マネックス証券では、マネックス・アセットマネジメントとの投資一任契約に基づくON COMPASSが提供されています。

利用には、証券総合取引口座に加えて投資一任口座が必要です。マネックス証券で特定口座を開設した状態で契約すると、投資一任契約も特定口座指定となる仕組みがあります。

ON COMPASSで確認したい点

  • 運用資産残高に対する実質的な年間費用
  • 投資対象となる専用投資信託の仕組み
  • NISAでは成長投資枠のみ利用できること
  • つみたて投資枠は利用できないこと
  • 解約時に契約内のNISA資産も売却される場合があること
  • 投資一任口座と証券総合取引口座が分かれていること

ON COMPASSの公式案内では、運用資産残高に対して年率0.9775%程度の費用が示されています。組入ETFの経費率を含む概算値であり、市場環境などによって実質コストが上回る場合があります。

投資一任契約と税金

投資一任契約を締結しても、運用益が契約終了まで課税されないわけではありません。

運用会社が投資信託や株式を売却して利益を確定すると、課税口座では原則としてその取引に対応する税金が発生します。

投資信託を運用する一般的なラップ口座

国内の公募株式投資信託を売買する一般的な個人向けラップ口座では、通常の公募株式投資信託と同様に、売却益などが課税されます。

上場株式等の譲渡益に対する税率は、一般的な個人の場合、原則として20.315%です。

  • 所得税および復興特別所得税:15.315%
  • 住民税:5%
  • 合計:20.315%

投資一任口座で株式を直接売買する場合

株式を直接売買する投資一任契約では、取引の内容や継続性などにより所得区分の判断が必要になる場合があります。

すべての投資一任契約に同じ税務処理を当てはめず、運用報告書、年間取引報告書、契約内容を確認してください。

投資一任契約と確定申告

特定口座の源泉徴収あり

投資一任口座内の商品が特定口座の源泉徴収ありで管理されている場合、証券会社が譲渡損益を計算し、原則として税金を源泉徴収します。

その口座内だけで課税関係が完結する場合、通常は確定申告不要です。

確定申告を検討するケース

  • 複数の証券会社の利益と損失を通算する
  • 譲渡損失を翌年以後へ繰り越す
  • 特定口座で計算されていない投資一任報酬を費用計上する
  • 一般口座で運用している
  • 外国税額控除などを利用する

投資一任報酬を費用にできる場合がある

国税庁は、株式売買を内容とする投資一任契約に基づいて支払う固定報酬や成功報酬について、株式等の譲渡所得等の計算上、必要経費または譲渡に要した費用等に含まれる場合があると案内しています。

ただし、支払いの効果が年をまたぐ場合や、株式以外の運用にも対応する報酬が含まれる場合は、契約内容に応じた判断が必要です。

特定口座年間取引報告書に投資一任報酬が反映されていない場合、費用計上するには、特定口座の譲渡損益を確定申告する必要があります。

投資一任契約の勘定科目

個人の資産運用

給与所得者などが個人資産を運用する場合、通常の家計管理で会計上の勘定科目を設定する必要はありません。

税務上は、売却した商品、口座区分、報酬の内容に応じて、取得費や譲渡に要した費用等として扱えるかを判断します。

個人事業主・法人

事業または法人の資金で投資一任契約を利用する場合、投資一任報酬を「支払手数料」「投資顧問料」などで処理する例があります。

ただし、手数料を期間費用として処理するか、取得した金融資産の取得価額へ含めるかは、契約内容、金融商品の種類、会計方針などによって異なります。

運用資産は「有価証券」「投資有価証券」などで処理する場合があります。具体的な仕訳は会計担当者や税理士へ確認してください。

投資一任契約締結前のチェックリスト

  • 投資運用業の登録を受けた会社か
  • 最終的な投資判断を誰が行うか
  • 投資対象と資産配分を理解したか
  • 元本割れの可能性を理解したか
  • 直接・間接の費用を合計したか
  • 固定報酬と成功報酬の計算方法を確認したか
  • 関係会社の商品を組み入れるか
  • 一部換金と全部解約の条件を確認したか
  • 解約代金の入金までの日数を確認したか
  • クーリング・オフの適用がないことを確認したか
  • 一般口座・特定口座のどちらで管理されるか
  • NISAを利用できるサービスか
  • 契約期間と自動更新の有無を確認したか
  • 運用方針を変更する方法を確認したか

まとめ|投資一任契約は任せられる範囲と総費用を確認しよう

投資一任契約締結とは、金融商品の選定、資産配分、売買の判断と実行を、契約範囲内で運用会社へ任せることです。ラップ口座やロボアドバイザーなどで利用されています。

投資判断やリバランスを任せられる一方、投資一任報酬や信託報酬などの費用が継続的に発生します。顧客が個別商品を自由に売買できず、解約代金の入金まで複数の営業日が必要になる場合もあります。

契約前には、契約締結前交付書面、重要情報シート、投資一任契約約款、投資対象ファンドの目論見書を確認しましょう。特に、直接・間接の総費用、元本割れのリスク、利益相反、NISA対応、解約条件が重要です。

SBIラップと楽ラップは、2026年7月17日時点ではNISAで利用できないと案内されています。一方、マネックス証券のON COMPASSはNISAの成長投資枠に対応しています。サービス名が似ていても、投資対象、手数料、口座区分、税務上の扱いは同じではありません。

投資一任契約を締結した後も、運用報告書や取引履歴を定期的に確認し、収入、家族構成、資金の使用時期などが変わった場合は、運用方針の変更や解約を検討することが大切です。

本記事は投資一任契約に関する一般的な情報を解説するものであり、特定の証券会社、運用サービス、金融商品の契約や売買を推奨するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。実際の契約や申告では、最新の契約書面、証券会社、税務署、税理士などへ確認してください。

<参考サイト>金融庁 / e-Gov法令検索 / 国税庁 / 日本投資顧問業協会 / SBI証券 / 楽天証券 / マネックス証券