投資一任契約締結とは?契約の流れ・手数料・NISA・解約・確定申告までわかりやすく解説

投資一任契約締結のメリット

金融商品の選定と売買を任せられる

投資対象の選定、購入、売却、資産配分の調整を運用会社へ任せられるため、自分で毎日市場を確認して注文する手間を減らせます。

ただし、契約後の利益が保証されるわけではありません。運用会社が売買しても、相場環境によって損失が生じます。

複数の資産へ分散しやすい

ラップ口座では、国内外の株式や債券など、値動きの異なる資産へ分散する運用が一般的です。

分散によって特定の銘柄や資産への集中を抑えられる可能性がありますが、市場全体が下落する局面では、複数の商品が同時に値下がりすることもあります。

リバランスを自動化できる

価格変動によって当初の資産配分からずれた場合、運用会社が売買を行い、目標とする配分へ調整します。この調整をリバランスといいます。

感情的に売買することを抑えやすい一方、リバランスによって含み益のある商品が売却され、課税口座では税金が発生する場合があります。

運用方針に沿った管理を継続できる

相場が上昇・下落しても、契約で定めた方針に基づいて運用が続きます。短期的なニュースだけを理由に売買方針を変えにくい点は、長期運用では利点になる場合があります。

投資一任契約締結のデメリット

保有期間中も手数料が継続する

投資一任サービスでは、運用結果にかかわらず、運用資産残高に応じた固定報酬などが発生する場合があります。

運用成績がマイナスでも手数料がかかるため、同じ商品を自分で保有する場合より費用が高くなる可能性があります。

個別商品の売買を自由に指示できない

投資一任口座では、運用会社へ売買判断を任せているため、顧客が「この投資信託だけ売却する」「この銘柄だけ追加する」といった個別指示を出せないのが一般的です。

一部換金を申し込んだ場合も、運用方針に沿って複数の商品が一定割合で売却されることがあります。

解約代金をすぐに受け取れない

解約を申し込んだ後、保有する投資信託などを順次売却し、受渡しと手数料の精算を行います。

証券総合口座へ資金が戻るまで、数営業日から10営業日程度、商品によってはそれ以上かかることがあります。急な支払いに使う資金の運用には注意が必要です。

運用会社との利益相反が生じる可能性がある

運用会社や関係会社が設定した投資信託を組み入れる場合、顧客に適した商品であるかに加えて、運用会社側の収益との関係も確認する必要があります。

契約締結前交付書面や重要情報シートで、関係会社の商品を採用する理由、手数料の受取り、利益相反を管理する方法を確認しましょう。

契約時の診断結果が将来も適切とは限らない

収入、家族構成、住宅購入、退職時期などが変われば、受け入れられるリスクも変わります。

契約後も定期的に運用目的と資産配分を見直し、必要に応じて運用コースの変更や解約を検討することが大切です。

ラップ口座とは?複数の機能をまとめたサービス

ラップ口座は、資産配分の提案、投資一任契約、商品の売買、口座管理、運用報告などを一体で提供するサービスです。「ラップ」には、複数のサービスを包み込むという意味があります。

ラップ口座には、主に次の形があります。

  • 担当者が運用方針を提案する対面型ファンドラップ
  • ウェブ上の質問に基づいて運用するロボアドバイザー
  • 投資信託を組み合わせるファンドラップ
  • 株式や債券などを直接組み入れるSMA型サービス

サービスによって最低契約金額、投資対象、手数料、担当者の有無が大きく異なります。

投資一任口座・投資一任勘定とは?

投資一任口座は、投資一任契約に基づく資産を、顧客が自分で売買する通常口座と区分して管理するための口座です。

投資一任勘定という言葉も、投資一任契約で運用する資産を区分する意味で使われます。ただし、一般口座、特定口座、NISA口座のような税法上の口座区分を示す言葉とは限りません。

投資一任口座内の商品が、税務上は一般口座または特定口座で管理される場合もあります。サービス申込時に口座区分を確認してください。

投資一任契約の手数料

投資一任契約では、複数の費用が重なる場合があります。

費用 主な内容
投資一任報酬 投資判断や運用管理に対して支払う報酬
ラップ口座手数料 口座管理やサービス提供に対する費用
固定報酬 運用資産残高に一定率を掛けて計算する報酬
成功報酬 一定の運用成果が出た場合に発生する報酬
信託報酬 投資対象となる投資信託から日々差し引かれる費用
信託財産留保額 対象ファンドの解約時に差し引かれる場合がある費用
その他費用 売買、監査、保管、外国資産の取引などに関する費用

固定報酬型と成功報酬併用型

固定報酬型では、運用資産残高に応じた報酬が継続的に発生します。計算しやすい一方、運用損失が出ている期間にも報酬がかかります。

成功報酬併用型では、固定報酬に加えて、一定の基準を超えた運用成果に対する成功報酬が発生します。成功報酬の基準、過去の最高評価額の扱い、解約時の精算方法を確認してください。

比較には年間の実質費用を使う

手数料を比較するときは、投資一任報酬だけでなく、投資対象ファンドの信託報酬なども合計します。

例えば、投資一任報酬が年率0.6%、組入ファンドの実質的な費用が年率0.4%であれば、単純合計では年率1.0%程度になります。実際の費用は資産配分、取引内容、運用期間などによって変動します。

投資一任契約とNISA

投資一任契約だからNISAを利用できない、または必ず利用できるという共通ルールではありません。サービスがNISAに対応し、購入する商品がNISAの対象要件を満たしている必要があります。

2026年7月17日時点では、主なサービスの対応は次のように異なります。

サービス NISA対応の主な状況
SBIラップ 公式の重要情報シートではNISA対象外と案内
楽ラップ NISAでは購入不可
ON COMPASS NISAの成長投資枠に対応。つみたて投資枠は対象外

NISA対応状況は変更される可能性があります。契約時点の契約締結前交付書面と公式案内を確認してください。

NISAで利用する場合の注意点

  • 年間投資枠を使用する
  • 売却しても同じ年の年間投資枠は復活しない
  • NISA内の損失は課税口座の利益と損益通算できない
  • 一任運用による売買でも年間投資枠の管理が必要
  • 解約時にはNISA資産も売却される場合がある

投資一任契約の解約では、申込ボタンを押した直後に現金化されるわけではありません。売却、税金、確定申告まで含めた実務上の注意点を次のページで確認します。