投資一任契約を締結すると、金融商品の選択、売買、資産配分の調整などを登録を受けた運用会社へ任せられます。ラップ口座やロボアドバイザーで利用される一方、継続的な手数料がかかり、自分で個別の売買を指示できない場合があります。本記事では、投資一任契約締結の意味、契約締結前交付書面の確認項目、手続きの流れ、メリットとデメリット、NISA、解約、税金、確定申告、勘定科目、SBI証券・楽天証券・マネックス証券の主なサービスまで整理して解説します。

この記事の目次
- 投資一任契約締結とは何か
- 投資顧問契約との違い
- 契約締結前交付書面の確認項目
- 投資一任契約を締結する流れ
- メリットとデメリット
- ラップ口座・投資一任口座の仕組み
- 手数料の種類と比較方法
- NISAへの対応状況
- 解約手続きと入金時期
- 税金・確定申告・勘定科目
- SBI証券・楽天証券・マネックス証券の主な違い
投資一任契約締結とは?運用判断と売買を任せる契約
投資一任契約とは、顧客が金融商品の価値などに基づく投資判断を運用会社へ任せ、運用会社がその判断に基づいて顧客のために売買などを行う契約です。
投資判断には、一般に次のような内容が含まれます。
- どの金融商品を購入するか
- 商品ごとにいくら配分するか
- いつ購入・売却するか
- 値動きに応じて資産配分をどう調整するか
- 分配金や売却代金を再投資するか
投資一任契約に基づく運用を業務として行うには、原則として金融商品取引法上の投資運用業の登録が必要です。
契約を締結しても、運用会社へ資産の所有権を渡すわけではありません。運用対象となる株式や投資信託などは顧客名義の口座で管理され、売却益、分配金、損失なども原則として顧客へ帰属します。
契約締結日と運用開始日は同じとは限らない
申込手続きが完了して投資一任契約が成立しても、その日のうちにすべての金融商品が購入されるとは限りません。
資金の振替、投資信託の注文、約定、受渡しなどを経て運用が始まります。申込日、契約締結日、運用開始日、最初の約定日は、それぞれ異なる場合があります。
投資一任契約と投資顧問契約の違い
投資一任契約と混同しやすい言葉に、投資顧問契約や投資助言契約があります。大きな違いは、最終的な投資判断と売買を誰が行うかです。
| 比較項目 | 投資一任契約 | 投資顧問契約・投資助言契約 |
|---|---|---|
| 投資判断 | 運用会社へ任せる | 助言を参考に顧客が判断する |
| 売買の実行 | 契約範囲内で運用会社が行う | 原則として顧客が注文する |
| 主なサービス | ファンドラップ、ロボアドバイザーなど | 銘柄助言、投資情報の提供など |
| 必要な登録 | 原則として投資運用業 | 原則として投資助言・代理業 |
投資助言では、どの商品をいつ売買するかについて助言を受けても、最終的な判断と発注は顧客自身が行います。
投資一任契約では、契約で定められた運用方針の範囲内で、運用会社が個別の売買判断を行います。相場が動くたびに顧客へ確認してから売買する仕組みではありません。
投資一任契約締結前交付書面とは?
投資一任契約を締結する前には、原則として契約締結前交付書面が書面または電磁的方法で提供されます。
契約締結前交付書面は、サービス内容やリスクを理解したうえで契約するための重要な資料です。広告ページや簡易的なサービス紹介だけでなく、必ず契約締結前交付書面と契約約款を確認しましょう。
主な確認項目
- 運用会社の名称、所在地、金融商品取引業者の登録番号
- 投資一任契約の概要
- 運用対象となる金融商品
- 資産配分や売買を決める方法
- 投資一任報酬や運用管理手数料
- 投資信託の信託報酬などの間接費用
- 元本割れが生じる可能性
- 価格変動、為替、信用、流動性などのリスク
- 運用会社と顧客との利益相反に関する事項
- 税金の概要
- 契約期間と自動更新の有無
- 契約終了や解約の条件
- 連絡先や苦情・紛争解決の窓口
- クーリング・オフ制度の適用の有無
手数料は合計額で確認する
契約締結前交付書面では、運用会社へ直接支払う投資一任報酬だけでなく、投資対象となる投資信託の信託報酬、信託財産留保額、売買や保管に関する費用なども確認します。
直接の手数料が低く見えても、投資対象ファンドで間接的な費用が発生することがあります。費用の名称ではなく、資産残高に対する実質的な年間負担を確認することが大切です。
投資一任契約を締結する流れ
1. 証券総合口座などを開設する
証券会社が提供するラップサービスでは、先に証券総合口座の開設が必要になるのが一般的です。サービスによっては、証券総合口座とは別に投資一任口座を開設します。
2. 運用目的とリスク許容度を確認する
年齢、収入、金融資産、投資経験、運用目的、運用予定期間、価格下落をどこまで受け入れられるかなどの質問に回答します。
回答結果を基に、複数の運用コースや資産配分が提示されることがあります。診断結果は利益を予測・保証するものではありません。
3. 運用方針の提案を確認する
国内外の株式、債券、不動産投資信託などへ、どのような割合で投資するかを確認します。
同じ「安定型」「成長型」という名称でも、会社によって株式や外貨建て資産の比率は異なります。コース名だけで判断せず、具体的な資産配分を確認してください。
4. 契約書面と重要情報を読む
契約締結前交付書面、投資一任契約約款、重要情報シート、投資対象ファンドの目論見書などを確認します。
特に、手数料、最大損失の可能性、解約方法、換金に必要な日数、NISA対応の有無は申込み前に確認しましょう。
5. 契約に同意して申込みを完了する
電子署名や確認画面への同意などにより、投資一任契約を締結します。契約成立後には、契約締結時交付書面などが提供されます。
6. 運用資金を入金・振替する
証券総合口座から投資一任口座へ資金が振り替えられ、運用方針に沿って金融商品が購入されます。
7. 運用状況を定期的に確認する
投資一任契約では売買を任せますが、資産状況を確認しなくてもよいわけではありません。運用報告書や取引履歴で、評価額、損益、資産配分、手数料などを定期的に確認しましょう。
運用を任せられる便利さの裏側には、継続的な費用や自由に売買できない制約があります。契約前に比べるべきポイントを次のページで整理します。



