株式の配当金を受け取ると、通常は税金が差し引かれた金額が証券口座などへ入金されます。しかし、上場株式等の配当所得には「申告不要」「総合課税」「申告分離課税」という選択肢があり、どの方法を選ぶかによって税金の還付、株式の譲渡損失との損益通算、住民税、社会保険料、扶養判定などが変わることがあります。本記事では、2026年時点の制度を基に、それぞれの違いと判断時の注意点をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 配当所得の意味と計算方法
- 総合課税・申告分離課税・申告不要の違い
- 配当控除や税金の還付を受けられる条件
- 配当所得と株式の譲渡損失を損益通算する方法
- 住民税・社会保険料・扶養・ふるさと納税への影響
配当所得とは?まず押さえたい基本の仕組み
配当所得とは、株主や出資者が法人から受け取る利益の配当、剰余金の分配、一定の投資信託の収益分配金などによる所得です。国内株式だけでなく、外国株式から受け取る配当も、原則として配当所得に該当します。
配当所得の金額は、次の式で計算します。
配当所得=税引前の配当収入-株式などを取得するための借入金利子
差し引けるのは、配当を生む株式などを購入するために借り入れた資金の利子のうち、その年の保有期間に対応する部分です。証券会社の売買手数料、通信費、投資情報サービスの利用料などを、自由に必要経費として差し引けるわけではありません。
配当所得と譲渡所得の違い
株式を保有している間に受け取る配当金は「配当所得」です。一方、株式を売却して得た利益は「株式等に係る譲渡所得等」として扱われます。
- 配当所得:企業から受け取る配当金や一定の投資信託の分配金
- 譲渡所得等:株式を売却した金額から取得費や手数料を差し引いた利益
所得の種類は異なりますが、上場株式等の配当を申告分離課税で申告した場合は、一定の上場株式等の譲渡損失と損益通算できます。
配当所得と雑所得の違い
法人から株主として受け取る配当金は、原則として雑所得ではなく配当所得です。これに対し、他の所得区分に当てはまらない副収入などは雑所得に該当することがあります。
例えば、株式の配当金と、証券会社から受け取る貸株金利などは、税務上の所得区分が同じとは限りません。年間取引報告書や支払通知書に記載された所得の種類を確認することが大切です。
上場株式の配当には3つの課税方法がある
一般的な上場株式等の配当については、次の3つから課税方法を選ぶことができます。
| 課税方法 | 主な特徴 | 配当控除 | 株式の譲渡損失との通算 |
|---|---|---|---|
| 申告不要 | 源泉徴収だけで課税を終了する | 受けられない | 原則としてできない |
| 総合課税 | 給与や年金など他の所得と合算する | 対象となる国内配当なら受けられる | できない |
| 申告分離課税 | 他の所得と分けて税額を計算する | 受けられない | 一定の上場株式等の譲渡損失と通算できる |
申告不要制度
上場株式等の配当には、原則として支払時に20.315%の税金が差し引かれます。内訳は、所得税および復興特別所得税が15.315%、住民税が5%です。
申告不要制度を選ぶ場合は、源泉徴収された税金だけで課税関係が終了するため、配当所得を確定申告書に記載しません。手続きが簡単で、配当所得を住民税上の合計所得金額に算入させたくない場合にも重要な選択肢です。
総合課税
総合課税では、配当所得を給与所得、事業所得、不動産所得、公的年金等に係る雑所得などと合算し、所得税の累進税率を適用します。所得税率は課税所得に応じて5%から45%まで変わります。
一定の国内法人から受け取った配当については、確定申告をすることで配当控除を受けられます。所得が比較的少なく、源泉徴収された所得税が本来の税額を上回っている場合は、還付を受けられる可能性があります。
申告分離課税
申告分離課税では、上場株式等の配当を給与や年金などと分け、原則として20.315%の税率で計算します。
申告分離課税の大きな特徴は、一定の上場株式等の譲渡損失と損益通算できることです。配当控除は受けられませんが、株式売却で損失が出ている場合には有利になる可能性があります。
税率だけを比べても、有利な課税方法は決まりません。次のページでは、配当控除と損益通算を含めた判断方法を詳しく解説します。



