デイトレードの代表的な手法
デイトレードには複数の手法がありますが、どの手法にも利益の保証はありません。名称だけを覚えるのではなく、「どの条件で入り、どこで間違いと判断して撤退するか」をセットで決めることが大切です。
ブレイクアウト
直近の高値や安値、一定期間続いた価格帯を明確に抜けた場面で、値動きが続く可能性を想定して売買する手法です。出来高の増加や相場全体の方向も判断材料になります。
一度抜けたように見えて、すぐ元の価格帯へ戻る「だまし」もあります。そのため、「高値を超えたら買う」だけでなく、どこまで戻ったら損切りするかを先に決めます。
押し目買い・戻り売り
上昇傾向の途中で一時的に下がった場面を買うのが押し目買い、下落傾向の途中で一時的に上がった場面を売るのが戻り売りです。
一時的な調整なのか、相場の方向が変わったのかをその場で完全に見分けることはできません。移動平均線や過去の高値・安値は参考になりますが、それだけで将来の値動きが決まるわけではありません。
レンジ取引・反発狙い
一定の価格帯を往復している銘柄について、下限付近の反発や上限付近の反落を想定する方法です。価格帯を明確に抜けると損失が膨らみやすいため、レンジが崩れた場合の撤退条件が必要です。
デイトレードの銘柄選定で確認したい5項目
「おすすめ銘柄」の固定リストをそのまま使う方法は適切とは限りません。売買代金、ニュース、決算発表、株価水準は日々変化するため、当日の状況から候補を選びます。
1.売買代金と出来高
売買が活発な銘柄は注文の相手が見つかりやすい傾向があります。一方、出来高の少ない銘柄では、買いたい価格と売りたい価格に大きな差が生じたり、希望価格で売れなかったりする可能性があります。
2.売値と買値の差
最も高い買い注文と最も安い売り注文の差を確認します。この差が大きい銘柄では、買った直後に売ろうとすると、その差の分だけ不利になることがあります。売買手数料が無料でも、価格差や市場への注文の影響は取引コストになります。
3.値動きの大きさ
値動きがほとんどない銘柄では利益を得られる幅も限られますが、値動きが極端に大きい銘柄は損失も急速に膨らみます。「よく動く銘柄ほどよい」とは限らず、自分が損失を管理できる範囲で選ぶことが重要です。
4.決算・適時開示・重要日程
決算発表、業績予想の修正、増資、株式分割、公開買付けなどの情報により、株価が大きく動くことがあります。材料が出た直後は注目が集まる一方、短時間で方向が変わる可能性もあります。SNSの投稿だけで判断せず、企業の適時開示など一次情報を確認しましょう。
5.相場全体や同業種の動き
個別企業に悪材料がなくても、株価指数、為替、金利、海外市場、同業種の値動きに影響される場合があります。個別チャートだけでなく、市場全体の方向も確認します。
資金管理は手法より先に決める
1回の取引で許容する損失額を先に定めると、感覚だけで株数を決めることを避けられます。基本的な考え方は次の通りです。
1単元当たりの想定損失=買値と損切り価格の差×100株
取引可能な単元数=1回の許容損失額÷1単元当たりの想定損失
例えば、買値1,000円、損切り価格990円の場合、100株当たりの価格差は1,000円です。自分で決めた許容損失額が2,000円なら、計算上は200株までとなります。ただし、急な値動きでは損切り注文が990円で成立するとは限りません。手数料や価格のずれもあるため、実際の損失は計算額を上回る可能性があります。
この数値例は取引を推奨するものではなく、株数を決める計算方法を示したものです。許容できる損失額は、資産、収入、生活費、経験などによって異なります。
証券会社は手数料だけで選ばない
デイトレードでは取引回数が増える可能性があるため、手数料は重要です。しかし、売買手数料だけを比べると、信用取引の金利や貸株料、注文機能、取引ツールの使いやすさ、システムの安定性などを見落とします。
- 現物取引と信用取引の手数料体系
- 信用取引の金利、貸株料、その他の費用
- 指値、逆指値、注文訂正など必要な注文機能
- アプリとパソコン用ツールの操作性
- 障害発生時の連絡方法や注文方法
- 不正アクセス対策や多要素認証の有無
- 問い合わせ窓口と取引ルールのわかりやすさ
日本国内の居住者向けに株式取引サービスを提供する事業者は、原則として金融商品取引業の登録が必要です。会社名や登録番号は、金融庁が公表する登録事業者情報で確認できます。
デイトレード用パソコンとアプリの選び方
デイトレードを始めるために、高価な専用パソコンや何台ものモニターが必須というわけではありません。証券会社の推奨環境を満たし、チャートと注文画面が安定して動作するパソコンが基本です。
- サポート期間内のOSを使用する
- 証券会社の推奨ブラウザやアプリを確認する
- 通信が途切れにくいインターネット環境を用意する
- スマートフォンなど代替の注文手段を準備する
- 推測されにくいパスワードと多要素認証を利用する
- 公共のWi-Fiから重要な取引操作をしない
複数の画面は情報を同時に表示するうえで便利ですが、情報量を増やしすぎると判断が遅れることもあります。最初は、注文画面、株価チャート、ニュース、保有状況を迷わず確認できる構成を優先しましょう。
デイトレードで勝てないときのチェックリスト
利益が安定しない場合、銘柄や手法を次々に変える前に、取引記録を確認します。特に重要なのが、勝率だけで成績を判断しないことです。
取引の期待値=勝率×平均利益-負ける確率×平均損失-取引コスト
勝率が高くても、1回の大きな損失で小さな利益を失えば、全体ではマイナスになります。反対に勝率が50%を下回っても、平均利益が平均損失より十分大きければ、記録上の収支がプラスになる場合があります。
- 損切り条件を決めずに取引していないか
- 損失中の銘柄を根拠なく買い増していないか
- 利益確定は早く、損切りだけ遅くなっていないか
- 1回の株数が大きすぎないか
- 手数料や信用取引の費用を含めて集計しているか
- 取引条件を満たしていないのに売買していないか
- 負けを取り返す目的で取引回数を増やしていないか
取引日誌には、日時、銘柄、買値、売値、株数、損益、手数料、売買理由、損切り予定価格、実際の行動を記録します。利益が出た取引も含めて振り返ることで、偶然の利益とルールに沿った取引を区別しやすくなります。
次ページでは、見落としやすいデイトレードの税金、NISAとの相性、本・ブログ・専門学校を選ぶ際の注意点を解説します。
利益が残っても、口座区分や確定申告を誤ると適切な税務処理ができません。重要な税金の仕組みは次のページへ。


