BPSは、株式投資で企業の財務状態やPBRを確認するときに使われる重要な指標です。しかし、「BPSは高いほど良いの?」「BPSが株価より高ければ割安?」「PBRやEPSとは何が違う?」「BPSが高ければ倒産しにくい?」といった疑問も生まれやすい指標です。BPSの金額だけを比べても企業の優劣は判断できず、株価、PBR、ROE、利益、キャッシュフローなどと組み合わせる必要があります。この記事では、2026年9月1日時点で日本取引所グループ(JPX)や企業会計基準委員会(ASBJ)などの公表情報を確認し、BPSの意味・計算方法・目安・PBRとの関係・スクリーニング方法・倒産リスクの見方まで初心者向けに解説します。

この記事の目次
- BPSとは?1株当たり純資産を簡単に解説
- BPSの計算方法と公式
- BPSとPBRの関係・違い
- BPSとEPSの違い
- BPSはいくらなら高い?目安の考え方
- BPSが高くなる理由
- BPSが増えている会社の見方
- BPSを使ったスクリーニング方法
- BPSが高ければ倒産しにくい?
- BPS・PBRで注意したい落とし穴
- 株式投資で使えるBPSチェックリスト
※本記事は株式指標の仕組みを解説するものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式には価格変動があり、元本割れの可能性があります。
BPSとは?「1株当たり純資産」を表す株式指標
BPSとはBook-value Per Shareの略で、日本語では「1株当たり純資産」と呼ばれます。
日本取引所グループ(JPX)も、BPSを「1株当たり純資産」の略称として説明しています。
企業には現金、預金、土地、建物、商品、売掛金などの資産がある一方、借入金や買掛金など返済・支払いが必要な負債があります。
会計上は、資産から負債などを差し引いた後に株主に帰属する部分が純資産として表示されます。BPSは、そのうち普通株主に帰属する純資産を1株当たりに換算したものと考えると理解しやすくなります。
BPSを簡単な例で考えてみよう
説明を単純化するため、普通株主に帰属する純資産が1,000億円、BPS計算に使う株式数が1億株の会社を考えます。
BPS=1,000億円÷1億株=1,000円
この場合、会計上は1株当たり1,000円の純資産が存在する計算です。
ただし、BPSが1,000円だから株価も1,000円になるわけではありません。実際の株価には企業の将来の利益成長、金利、市場環境、事業リスクなど多くの要素が反映されます。
BPSの計算方法・公式|厳密には自己株式なども考慮する
BPSの基本的な計算式は次のように表現できます。
BPS(1株当たり純資産)=普通株式に係る期末純資産額÷期末の普通株式数
日本取引所グループでは初心者向けに「純資産÷期末発行済株式数」と説明されていますが、企業会計基準委員会の適用指針では、より厳密な計算方法が定められています。
普通株式に係る期末純資産額を、期末の普通株式の発行済株式数から自己株式数を控除した株式数で割って算定します。
また連結財務諸表では、単純に貸借対照表に表示された純資産合計をそのまま割るとは限りません。新株予約権、非支配株主持分、普通株式より優先的な権利を持つ株式に関する金額など、普通株主に帰属しない部分を調整する場合があります。
BPSの計算例
普通株主に帰属する純資産が600億円、発行済普通株式が6,500万株、自己株式が500万株の場合を考えます。
計算に使用する株式数は、
6,500万株-500万株=6,000万株
となります。
BPSは、
600億円÷6,000万株=1,000円
です。
実際の投資では自分で計算しなくても決算短信、証券会社、株価情報サービスなどにBPSが掲載されていることが多くあります。ただし、決算期や予想値・実績値などデータの基準時点は確認しましょう。
BPSとPBRの関係|2つはセットで覚えるとわかりやすい
BPSを株式投資で利用するとき、特に重要になるのがPBR(株価純資産倍率)です。
PBRの計算式は次のとおりです。
PBR=株価÷BPS
日本取引所グループもPBRについて、株価を1株当たり純資産で割り、株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを見る指標と説明しています。
株価1,500円・BPS1,000円ならPBRは?
1,500円÷1,000円=1.5倍
したがってPBRは1.5倍です。
反対に、株価800円、BPS1,000円なら、
800円÷1,000円=0.8倍
となります。
BPSとPBRの違い
| 指標 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| BPS | 1株当たりに対応する純資産 | 円 |
| PBR | 株価がBPSの何倍で評価されているか | 倍 |
つまり、BPSは企業の会計上の純資産を1株単位にした数字で、PBRはそのBPSに対して市場が株価を何倍に評価しているかを見る指標です。
PBR1倍とはどういう状態?
PBRが1倍なら、計算上は株価=BPSです。
例えばBPS1,200円、株価1,200円ならPBRは1倍になります。
日本取引所グループのJPXプライム150指数でも、市場評価を見る指標としてPBRを採用し、株価がBPSを上回るとPBRが1倍を超えることが説明されています。
ただし、PBR1倍未満だから必ず割安、1倍超だから必ず割高という意味ではありません。
東京証券取引所も、企業の市場評価を分析する際の基準は必ずしもPBR1倍だけではなく、市場平均、業種平均、その他の指標を利用する考え方を示しています。
利益を生み出す力が弱い企業ではPBR1倍未満が長く続く場合があります。反対に、高い収益性や成長性を市場から評価される企業ではPBRが数倍になることもあります。
BPSとEPSの違い|「資産」と「利益」を区別しよう
BPSとよく似た略語にEPSがあります。
EPSはEarnings Per Shareの略で、日本語では「1株当たり利益」です。
| BPS | EPS | |
|---|---|---|
| 日本語 | 1株当たり純資産 | 1株当たり利益 |
| 主に見るもの | 企業に蓄積された純資産 | 一定期間に稼いだ利益 |
| 性質 | ある時点のストック | 一定期間のフロー |
| 関連する代表指標 | PBR | PER |
日本取引所グループではEPSについて、当期純利益を期中平均発行済株式数などで1株当たりに換算した指標として説明しています。
簡単にいえば、BPSは「これまでに蓄積された株主の持分」、EPSは「その期間に1株当たりいくら利益を稼いだか」を見るものです。
PBRはBPSを使い、PERはEPSを使います。
PBR=株価÷BPS
PER=株価÷EPS
BPSには「○円以上なら優良」という共通基準がありません。実は、BPS1,000円の会社よりBPS300円の会社のほうが投資対象として魅力的なケースもあります。その理由と正しい比較方法を次のページで解説します。




