パッシブ運用とは?インデックス運用との違い・メリット・手数料・選び方を徹底解説

パッシブ運用の利回りはどのくらい?

パッシブ運用には、預金金利のようにあらかじめ決まった利回りはありません。運用成果は、連動対象となる指数の値動き、配当や利息、為替変動、運用費用などによって変わります。

例えば、株式指数に連動するファンドは、企業の利益成長や配当、市場評価の変化によって価格が上下します。債券指数に連動するファンドも、金利、信用状況、残存期間などによって値動きします。

過去の利回りは将来の成果を保証しない

商品を比較するときは、直近1年間だけでなく、可能であれば複数の期間を確認しましょう。ただし、長期間の実績があっても、将来同じ利回りが続くとは限りません。

特定の期間だけ高い成果を示したファンドでも、その時期に特定の国、通貨、業種が大きく上昇していた可能性があります。高い過去実績だけを理由に選ぶと、高値で購入することにもなりかねません。

分配金利回りと運用成果は別

分配金を多く支払うファンドが、必ず高い運用成果を上げているとは限りません。投資信託が分配金を支払うと、その金額に相当する分だけ基準価額が下がることが基本です。

商品を比較するときは、分配金だけでなく、基準価額の変化と分配金を合わせたトータルリターンを確認する必要があります。分配金の一部または全部が、運用益ではなく投資元本に相当する場合もあります。

パッシブ運用の手数料

パッシブ運用商品は低コストになりやすいものの、完全に費用がかからないわけではありません。目論見書、運用報告書、重要情報シートなどで、次の費用を確認しましょう。

購入時手数料

投資信託を購入するときに販売会社へ支払う費用です。購入時手数料がかからない商品は「ノーロード」と呼ばれます。

同じファンドでも販売会社によって購入時手数料が異なる場合があります。購入前に、利用する金融機関の手数料を確認してください。

信託報酬

信託報酬は、投資信託を保有している期間中、信託財産から継続的に差し引かれる運用管理費用です。投資家が別途支払うのではなく、日々の基準価額へ反映されます。

長期間保有する場合は、信託報酬の差が運用成果へ影響します。ただし、表示された信託報酬だけでなく、投資先ファンドの費用を含む実質的な負担も確認する必要があります。

その他の費用

信託報酬以外にも、組入資産を売買する際の委託手数料、監査費用、海外資産の保管費用、税金などが発生する場合があります。これらは事前に金額を確定できないことがあります。

運用報告書には、一定期間中に発生した費用や総経費率が掲載される場合があります。信託報酬が同程度の商品を比較するときは、実際の総費用も参考になります。

信託財産留保額

一部の投資信託では、解約時に信託財産留保額が差し引かれます。これは販売会社が受け取る手数料ではなく、解約に伴う売買費用などを残っている投資家だけに負担させないため、信託財産へ残す金額です。

ETFの売買手数料とスプレッド

ETFでは、証券会社の売買手数料がかかることがあります。また、取引所には売り注文と買い注文があり、その価格差であるスプレッドも実質的な取引コストになります。

取引量が少ないETFでは、スプレッドが広がったり、希望した価格で売買しにくくなったりする場合があります。運用管理費用だけでなく、売買のしやすさも重要です。

パッシブ運用でおすすめの商品は?

年齢、収入、保有資産、投資期間、目的、損失許容度が異なるため、すべての人に適した一つの商品はありません。特定の商品名や人気順位だけでなく、次の基準で比較することが重要です。

1.投資対象が目的に合っているか

まず、どの国や資産へ投資するのかを確認します。老後まで長期間運用する資金と、数年後に使う予定の資金では、許容できる値動きが異なります。

近い将来に必要な生活費や緊急資金まで、値動きの大きい株式ファンドへ投資することは慎重に検討する必要があります。

2.連動対象指数を理解できるか

指数の名称だけでなく、対象地域、構成銘柄、組入方法、業種配分、通貨、配当の扱いを確認しましょう。似た名称の指数でも、投資先が異なる場合があります。

3.信託報酬と総経費率は妥当か

同じ指数への連動を目指す商品であれば、費用は重要な比較項目です。ただし、信託報酬が低くても、指数とのずれが大きい商品や、純資産総額が極端に小さい商品もあります。

4.指数への連動状況は安定しているか

月次レポートや運用報告書を確認し、対象指数とファンドの騰落率に大きな差が続いていないかを見ます。費用分を超える差が長く続く場合は、その理由を確認しましょう。

5.純資産総額と資金流出入はどうか

純資産総額が大きいから安全とは限りませんが、資金が継続的に流出し、規模が極端に小さくなったファンドは、繰上償還の可能性を確認する必要があります。

反対に、純資産総額が大きいという理由だけで、手数料や投資対象を確認せずに選ぶことも適切ではありません。

6.分配方針が目的に合っているか

長期的な資産形成を目的とする場合、分配金を頻繁に受け取る商品より、ファンド内で運用を継続する商品が管理しやすいことがあります。

分配金を受け取って再投資する場合、再投資の手間や税金が複利効果へ影響する可能性があります。NISA口座では一定の条件のもとで運用益が非課税になりますが、損失が出ない制度ではありません。

7.為替ヘッジの有無を確認する

外国の株式や債券へ投資する商品は、現地資産の値動きに加えて為替変動の影響を受けます。為替ヘッジありの商品は為替変動の影響を抑えることを目指しますが、ヘッジコストが発生することがあります。

為替ヘッジなしの商品では、投資先の資産価格が上昇しても、円高によって円換算の運用成果が下がる可能性があります。反対に、円安が運用成果を押し上げることもあります。

本格運用を始める前に決めておきたいこと

投資目的と使用時期

住宅購入、教育費、老後資金など、資金を使う目的と時期を明確にしましょう。運用期間が短いほど、購入直後の下落から回復する時間が限られます。

許容できる損失額

「何%下がっても耐えられるか」だけでなく、実際の金額で考えることが重要です。100万円を投資して30%下落した場合、評価額は70万円になります。その状況でも保有を続けられるかを事前に検討します。

生活防衛資金を確保する

日常生活や突然の出費に必要な現金まで投資すると、相場下落時に売却せざるを得なくなる可能性があります。すぐに必要となる可能性がある資金と、長期間使わない資金を分けて管理しましょう。

一括投資と積立投資を理解する

一括投資は、投資後に市場が上昇すれば、早い段階から資金全体を運用できます。一方、購入直後に下落すると、評価損も大きくなります。

積立投資は、購入時期を分散できますが、損失を防ぐ方法ではありません。市場が長期間下落すれば、積立を続けても評価損が発生します。また、右肩上がりの市場では、一括投資より運用成果が低くなる場合があります。

パッシブ運用でよくある誤解

パッシブ運用なら安全?

安全とは限りません。運用方法がパッシブであっても、投資先が株式、新興国資産、REITなどであれば、大きく値下がりする可能性があります。

インデックスファンドならすべて分散されている?

すべての商品が幅広く分散されているわけではありません。特定国、特定業種、高配当株、テーマ株などに限定された指数もあります。構成銘柄数が多くても、上位銘柄の比率が高い場合があります。

手数料が最安なら最も優れた商品?

手数料は重要ですが、それだけでは判断できません。投資対象、指数への連動状況、純資産総額、運用方法、為替ヘッジ、売買のしやすさなども確認する必要があります。

長期保有すれば必ず利益が出る?

長期保有によって短期的な価格変動の影響をならせる可能性はありますが、利益は保証されません。購入した価格、市場環境、投資対象、通貨、費用などによっては、長期間保有しても損失が残る可能性があります。

有名な指数なら内容を確認しなくてもよい?

有名な指数でも、算出方法や構成銘柄は異なります。指数のルールが変更されたり、構成銘柄が定期的に入れ替えられたりすることもあります。名称だけでなく、指数の中身を確認しましょう。

まとめ:パッシブ運用は低コストで市場全体へ投資する有力な選択肢

パッシブ運用とは、特定の指数やベンチマークへの連動を目指す運用スタイルです。一般的にはインデックス運用とほぼ同じ意味で使われ、代表的な商品にはインデックス型投資信託やインデックス型ETFがあります。

パッシブ運用には、運用コストを抑えやすい、複数銘柄へ分散しやすい、運用内容が比較的わかりやすいというメリットがあります。一方、市場全体の下落を避けにくい、指数を大きく上回ることを目指さない、指数との間にずれが発生するというデメリットもあります。

商品を選ぶ際は、人気や過去の利回りだけで判断せず、投資対象、連動指数、信託報酬、総経費率、トラッキング状況、純資産総額、分配方針、為替ヘッジの有無を確認してください。

本記事は、パッシブ運用や投資信託に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品、銘柄、運用方法を推奨するものではありません。株式、債券、投資信託、ETFなどには価格変動、為替変動、信用、流動性などのリスクがあり、元本割れが発生する可能性があります。購入前に目論見書、重要情報シート、契約締結前交付書面、手数料、リスク説明を確認し、ご自身の資産状況、投資経験、目的、損失許容度に基づいて判断してください。

<参考サイト>

金融庁 / 日本取引所グループ(JPX) / 資産運用業協会 / 日本証券業協会 / S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス / Investor.gov(米国証券取引委員会)