パッシブ運用とは?インデックス運用との違い・メリット・手数料・選び方を徹底解説

パッシブ運用商品の代表例

個人が利用しやすいパッシブ運用商品には、主にインデックス型の投資信託とETFがあります。企業年金や確定拠出年金の商品にも、パッシブ運用を採用するファンドがあります。

インデックス型の投資信託

一般的な投資信託は、販売会社を通じて購入し、通常は1日1回算出される基準価額で取引します。少額から購入できる商品や、毎月一定額を自動購入できる商品もあります。

購入時手数料が無料のインデックスファンドもありますが、保有中には信託報酬やその他の費用が差し引かれます。「購入手数料無料」と「すべての費用が無料」は同じではありません。

インデックス型ETF

ETFは、金融商品取引所に上場している投資信託です。株式と同じように、取引所の売買時間中に市場価格で売買できます。

ETFには、売買時の証券会社の手数料、売値と買値の差であるスプレッド、保有中の運用管理費用などが発生することがあります。市場価格がファンドの純資産価値を上回ったり、下回ったりする場合もあります。

通常の投資信託とETFのどちらが有利かは、売買金額、積立方法、取引回数、手数料、スプレッド、分配金の再投資方法などによって異なります。

パッシブ運用銘柄の代表的な投資対象

「パッシブ運用銘柄」という言葉は、個別企業の株式ではなく、特定の指数に連動する投資信託やETFを指して使われることがあります。

代表的な投資対象には、次のような種類があります。

  • 日本株式:TOPIX、日経平均株価など
  • 米国株式:S&P 500、ダウ・ジョーンズ工業株価平均など
  • 全世界株式:先進国や新興国を含む世界株式指数など
  • 先進国株式:日本を除く先進国株式指数など
  • 新興国株式:新興国の株式市場を対象とする指数など
  • 国内外の債券:国債や社債を対象とする債券指数など
  • 不動産投資信託:国内外のREIT指数など
  • 複数資産:株式、債券、REITなどを組み合わせた指数

同じパッシブ運用でも、投資対象が違えばリスクと値動きは大きく異なります。国内債券へ投資するファンドと新興国株式へ投資するファンドを、手数料だけで比較することはできません。

指数の名前だけで判断しない

指数を確認するときは、対象国、構成銘柄数、銘柄の選定方法、組入比率、通貨、配当の扱いなどを見る必要があります。

幅広い市場を対象にした指数でも、時価総額の大きい企業や特定業種の比率が高くなる場合があります。また、「全世界」と表記されていても、日本を含む指数と含まない指数があります。

パッシブ運用のメリット

運用コストを抑えやすい

パッシブ運用では、指数の構成に沿って運用するため、企業調査や頻繁な売買にかかる費用を抑えやすくなります。このため、同じ資産へ投資するアクティブファンドより、信託報酬が低く設定される傾向があります。

わずかな費用差でも、長期間保有すると資産額へ影響します。ただし、信託報酬が最も低い商品が必ず最も高い成果になるとは限りません。指数への連動状況やその他の費用も確認する必要があります。

少ない商品数で分散投資しやすい

幅広い指数に連動するファンドを購入すると、多数の企業や債券へまとめて投資できます。個別株を1社ずつ購入するより、特定企業の業績悪化による影響を小さくしやすい点が特徴です。

ただし、分散投資をしても、市場全体が下落した場合の損失は避けられません。株式指数へ連動するファンドだけを保有している場合、企業数が多くても資産の種類は株式に集中しています。

運用内容を理解しやすい

対象指数が明確であれば、どの国や資産へ投資しているかを把握しやすくなります。市場指数の値動きとファンドの基準価額を比較することで、運用状況も確認できます。

銘柄選びにかかる負担を減らせる

個別企業の決算や事業内容を継続的に分析しなくても、指数を通じて複数の企業へ投資できます。ただし、購入後に何も確認しなくてよいわけではありません。資産配分、手数料、運用方針の変更などは定期的に確認しましょう。

パッシブ運用のデメリット

市場全体の下落を避けにくい

パッシブファンドは、対象指数への連動を目指して運用します。そのため、株式市場全体が下落すれば、基本的にファンドの基準価額も下落します。

運用担当者の判断によって株式を大幅に売却し、現金比率を高めるといった対応は原則として行いません。指数へ連動するという目的から離れてしまうためです。

指数を上回る成果は基本的に目指さない

指数に近い値動きを目指すため、手数料控除前でも市場平均を大きく上回ることは基本的な目標ではありません。急成長した一部の企業へ集中投資した場合と比べ、上昇幅が小さくなることもあります。

指数の弱点もそのまま受け入れる

時価総額加重型の指数では、株価が上昇して時価総額が大きくなった企業の比率が高くなる傾向があります。市場環境によっては、上位企業や特定業種への集中度が高まる可能性があります。

また、指数構成銘柄の定期的な入れ替えに伴い、ファンド側でも売買が必要になります。指数への採用や除外を市場参加者が事前に予測し、価格へ影響する場合もあります。

指数と完全に同じ成果にはならない

ファンドの運用成果と対象指数の間には、費用や運用上の事情による差が生じます。この差は、トラッキング・ディファレンスやトラッキングエラーなどの指標で確認できます。

  • トラッキング・ディファレンス:ファンドと指数のリターンの差
  • トラッキングエラー:指数との差がどの程度変動しているかを示す指標

対象指数を構成する全銘柄ではなく、一部を抽出して保有するサンプリング方式では、指数とのずれが大きくなる場合があります。

パッシブ運用のメリット・デメリットを整理

  • メリット:低コストになりやすい、分散しやすい、運用内容が比較的わかりやすい
  • デメリット:市場下落の影響を受ける、指数を大きく上回ることは目指さない、指数とのずれが発生する

パッシブ運用は、損失を避ける仕組みではありません。元本保証の預金とは異なり、投資対象の価格、為替、金利、信用状況などによって元本割れが発生します。

実は、パッシブ運用商品は信託報酬だけで選ぶと重要な費用や指数の違いを見落とします。次のページでは、利回り・手数料・おすすめ商品の判断基準を解説します。