制度信用取引とは?一般信用との違い・金利・期限・逆日歩を初心者向けに徹底解説

制度信用取引で発生する主な費用

信用取引では、株式の売買手数料以外にも、資金や株式を借りるための費用が発生します。

  • 信用買いの買方金利
  • 信用売りの貸株料
  • 制度信用売りで発生する場合がある逆日歩
  • 売買手数料
  • 事務管理費
  • 権利処理に関する費用
  • 一般信用売りの特別貸株料

証券会社の売買手数料が0円でも、金利や貸株料まで無料になるとは限りません。

制度信用取引の買方金利

制度信用で株式を買う場合、証券会社から借りた買付資金に対して買方金利を支払います。

一般的な計算式は次のとおりです。

買方金利=新規建約定代金×年利率÷365×計算日数

新規建約定代金が100万円、買方金利が年2.8%、計算日数が10日なら、概算額は次のようになります。

100万円×2.8%÷365×10日=約767円

実際の計算では、新規建ての受渡日から返済の受渡日までを両方含める「両端入れ」が使われます。土曜日、日曜日、祝日をまたぐ場合も、受渡日間の日数に含まれることがあります。

約定日の翌日に返済しても、受渡日の関係から金利が1日分だけになるとは限りません。大型連休や年末年始をまたぐ取引では、保有期間の感覚より計算日数が多くなる場合があります。

制度信用取引金利は固定ではない

買方金利は、金融情勢や証券会社の調達条件などによって変更される可能性があります。

同じ制度信用取引でも、証券会社、取引コース、建玉残高などによって優遇金利が適用される場合があります。過去の記事や比較表ではなく、注文時点の公式料金表を確認してください。

信用売りの貸株料

信用売りでは、証券会社から株式を借りるために貸株料を支払います。

貸株料=新規建約定代金×年率÷365×計算日数

100万円分の株式を年率1.1%で10日間売り建てた場合、概算の貸株料は次のとおりです。

100万円×1.1%÷365×10日=約301円

貸株料は、制度信用売りでも一般信用売りでも発生する場合があります。制度信用の逆日歩とは別の費用です。

逆日歩とは?制度信用売りで発生する可能性がある費用

逆日歩の読み方は「ぎゃくひぶ」です。正式には品貸料と呼ばれます。

制度信用取引では、証券会社が証券金融会社から信用売りに必要な株式を借りることがあります。売建需要が増え、証券金融会社で貸し出す株式が不足すると、外部から株式を調達するための費用が発生します。

この調達費用を、制度信用の売方が支払い、制度信用の買方が受け取ることがあります。

逆日歩の計算方法

逆日歩=1株当たりの品貸料×建株数×対象日数

1株当たり5円、1,000株、対象日数が3日の場合は次のとおりです。

5円×1,000株×3日=15,000円

貸株料は建玉金額に年率を掛けて計算しますが、逆日歩は1株当たりの金額で計算します。株価が低い銘柄でも、株数が多ければ負担額が大きくなる可能性があります。

逆日歩の金額は事前に確定しない

逆日歩は、株式の不足状況と品貸入札の結果によって決まります。売建注文を出す時点では、発生するかどうかや金額を確定できません。

権利付き最終日、株主優待銘柄、売買が過熱している銘柄では、売建需要が集中することがあります。優待品の価値を上回る逆日歩が発生する可能性もあります。

連休をまたぐと対象日数が増える場合がある

逆日歩は受渡日を基準に対象日数が決まるため、土日祝日や大型連休をまたぐと複数日分になることがあります。

1日当たりの逆日歩が小さくても、日数が増えることで合計負担額が大きくなる場合があります。

一般信用売りには制度信用の逆日歩がない

一般信用売りでは、証券会社が自社で用意した株式などを貸し出すため、証券金融会社の品貸入札による逆日歩は発生しません。

ただし、一般信用には貸株料があり、銘柄によっては特別な貸株料が加算されます。また、売建可能な株数は証券会社の在庫に限られます。

制度信用取引を使ったクロス取引とは?

クロス取引とは、同じ銘柄について同じ数量の買い注文と売り注文を組み合わせ、株価変動による損益を相殺する方法です。

株主優待を目的とする場合には、現物株式を買い、同じ銘柄を信用売りする方法が使われることがあります。「つなぎ売り」と呼ばれることもあります。

クロス取引の基本的な仕組み

株価1,000円の銘柄を100株現物で購入し、同時に100株を信用売りしたとします。

その後、株価が900円へ下落すると、現物株には1万円の評価損が発生します。一方、信用売りにはおおむね1万円の利益が発生するため、価格変動による損益を相殺できます。

ただし、売買手数料、貸株料、金利、配当調整金などが発生するため、完全に損益がゼロになるわけではありません。

制度信用クロスでは逆日歩に注意

制度信用売りを使ったクロス取引では、権利付き最終日などに逆日歩が発生する可能性があります。

逆日歩は事前に確定できないため、株主優待の価値より取引コストが高くなることがあります。制度信用売りが常に一般信用売りより有利とは限りません。

一般信用クロスにも費用と在庫リスクがある

一般信用売りなら制度信用の逆日歩はありませんが、貸株料が発生します。早い時期から売建すると、保有日数分の貸株料が増えます。

権利日が近づくまで待つと、一般信用の売建在庫がなくなる可能性があります。コストの低さと在庫確保のどちらを優先するかを検討する必要があります。

配当金と配当調整金

現物株式を権利付き最終日まで保有すると、配当の対象になる場合があります。一方、信用売りを権利日をまたいで保有すると、配当相当額である配当調整金を支払います。

現物株の配当金と売建側の配当調整金は、税務や制度上の処理により完全に同額にならない場合があります。配当を含めた最終的な手取り額を確認しましょう。

株主優待は信用買いだけでは受け取れない

信用買いを行っていても、株主名簿上の株主にはならないため、通常は議決権や株主優待を受け取れません。

株主優待を受けるには、原則として権利確定日に現物株主として株主名簿へ記録される必要があります。企業によっては、一定期間の継続保有や複数回の株主名簿記載が条件となります。

仮装売買や相場操縦に該当する取引は禁止

通常の価格変動リスクを抑えるためのクロス取引が、直ちに違法となるわけではありません。

ただし、取引が活発であるように見せかける目的や、株価を人為的に動かす目的で売買を繰り返す行為は、仮装売買や相場操縦として金融商品取引法に抵触する可能性があります。

注文方法や同一人物間の売買について、証券会社が制限を設ける場合もあります。証券会社の取引ルールを確認してください。

SBI証券における制度信用と一般信用の違い

2026年7月30日時点で、SBI証券の国内信用取引には、制度信用取引と複数の一般信用取引があります。

区分 主な返済期限 主な特徴
制度信用 6か月 取引所選定銘柄。制度信用売りでは逆日歩の可能性がある
一般信用・無期限 原則無期限 逆日歩なし。証券会社の対象銘柄・在庫に基づく
一般信用・短期 15営業日 株主優待のつなぎ売りなどに利用される。貸株料は無期限と異なる
一般信用・日計り 新規建て当日 主にデイトレード向け。当日中の返済が前提

SBI証券の公表金利・貸株料の例

2026年7月30日時点の通常料率として、SBI証券は制度信用と一般信用無期限の買方金利を年2.80%、制度信用と一般信用無期限の貸株料を年1.10%と公表しています。

一般信用短期の貸株料は年3.90%です。取引条件を満たす大口利用者には、別の優遇金利が適用される場合があります。

これらの料率は変更される可能性があります。また、日計り取引を翌日へ持ち越した場合の金利・貸株料、HYPER空売りの追加料金、強制決済手数料などは別に定められています。

制度信用と一般信用を注文後に変更できる?

一度約定した建玉を、制度信用から一般信用へ、または一般信用から制度信用へ直接変更することは通常できません。

取引区分を変更するには、既存建玉を返済し、希望する区分で新たに建て直す必要があります。建て直す間に株価が動いたり、一般信用の売建在庫がなくなったりする可能性があります。

制度信用は金利や銘柄数だけで選ぶと、期限・逆日歩・追証を見落とします。次のページでは、メリット・デメリットと取引前の判断手順を解説します。