制度信用取引とは?一般信用との違い・金利・期限・逆日歩を初心者向けに徹底解説

制度信用取引のメリット

取引所が定めた共通の制度を利用できる

対象銘柄、返済期限、権利処理などの基本ルールが取引所規則で定められているため、制度の枠組みを把握しやすい特徴があります。

証券会社によって金利や手数料は異なりますが、制度信用銘柄や貸借銘柄の選定は取引所が行います。

一般信用より売建対象が多い場合がある

貸借銘柄では、証券金融会社を通じて株式を調達できるため、証券会社が自社だけで株式を用意する一般信用売りより、売建対象や在庫が多い場合があります。

ただし、貸株注意喚起や申込停止措置、証券会社独自の規制によって、売建できなくなる場合があります。

金利や貸株料が低い場合がある

証券会社や取引区分によっては、制度信用の買方金利や貸株料が、一般信用の短期区分より低く設定されています。

短期の売買では、逆日歩が発生しなければ制度信用の総費用が低くなる場合があります。ただし、逆日歩の発生を事前に確定できない点を考慮する必要があります。

株価下落局面でも売買機会がある

制度信用売りを利用すると、株価下落を予想した取引や、保有する現物株式の値下がりリスクを抑える取引ができます。

ただし、信用売りは株価上昇による損失に上限がありません。買収発表や好決算などで株価が急騰すると、短期間で大きな損失が発生する可能性があります。

制度信用取引のデメリット

返済期限が最長6か月

株価が回復するまで長期間待ちたい場合でも、返済期限が到来すれば決済しなければなりません。

含み損がある状態で期限を迎えると、損失を確定せざるを得ない場合があります。

制度信用売りでは逆日歩が発生する

株不足が発生すると、売方は逆日歩を支払います。逆日歩は売建時点では金額を確定できず、優待や予想利益を上回る負担となる場合があります。

金利や貸株料が毎日増える

信用建玉を保有している期間は、買方金利や貸株料が日々発生します。株価が変わらなくても、保有期間が長くなるほど損益は悪化します。

追証が発生する可能性がある

信用建玉の評価損や代用有価証券の値下がりによって保証金維持率が証券会社の基準を下回ると、追加保証金である追証が発生します。

期限までに追証を解消できなければ、証券会社によって建玉を強制決済されます。決済後に保証金を超える不足金が残れば、追加で支払う必要があります。

損失が保証金を超える可能性がある

ストップ安、ストップ高、売買停止、窓開けなどによって、希望する価格で決済できない場合があります。

逆指値注文を設定していても、指定価格を飛び越えて約定する可能性があります。信用取引の損失は、差し入れた保証金の範囲に限定されません。

権利処理が現物株式と異なる

信用買いでは株主名簿上の株主にならないため、議決権や株主優待を受け取れません。

配当や株式分割など、金銭的に評価できる権利は取引所規則に基づいて調整されますが、現物株式を保有した場合とまったく同じ扱いになるとは限りません。

制度信用と一般信用はどちらを選ぶ?

制度信用と一般信用のどちらが常に有利とは決められません。取引目的、保有予定期間、対象銘柄、総費用によって適する区分が異なります。

重視する条件 確認する取引区分
6か月以内の売買を予定している 制度信用と一般信用の金利を比較する
6か月を超えて買建を保有したい 一般信用無期限の条件を確認する
逆日歩を避けたい 一般信用売りの在庫と貸株料を確認する
一般信用の売建在庫がない 貸借銘柄の制度信用売りと逆日歩リスクを確認する
当日中に決済する 一般信用日計りの条件を確認する
株主優待のクロス取引 一般信用短期・無期限と制度信用の総費用を比較する

金利だけで比較しない

制度信用の金利が一般信用より低くても、期限到来による建て直しや逆日歩によって、最終的な費用が高くなる場合があります。

次の費用を合計して比較しましょう。

総費用=売買手数料+買方金利または貸株料+逆日歩+管理費+権利処理費用など

予定保有日数を使って試算する

買方金利や貸株料は保有日数によって増えます。1日だけ保有する場合と、3か月保有する場合では、同じ年率でも負担額が大きく異なります。

権利日や連休をまたぐ場合は、受渡日を基準にした計算日数を確認してください。

制度信用取引の始め方

1.信用取引口座を申し込む

証券総合口座とは別に、信用取引口座の申込みが必要です。証券会社は、投資経験、金融資産、年齢、取引知識などを基に審査を行います。

2.契約締結前交付書面を確認する

保証金率、追証基準、金利、貸株料、返済期限、強制決済、取引規制などを確認します。

3.委託保証金を用意する

現金または証券会社が認める代用有価証券を差し入れます。代用有価証券は時価の全額ではなく、通常は一定の掛け目で評価されます。

4.注文時に信用区分を選ぶ

銘柄、買建・売建、制度信用・一般信用、株数、価格を選択します。現物買いと信用買いを間違えないように注意しましょう。

5.建玉と費用を毎日確認する

評価損益だけでなく、保証金維持率、返済期限、金利、貸株料、逆日歩、規制情報を確認します。

6.期限前に返済方法を決める

  • 返済売り:信用買いした株式を売却して決済する
  • 返済買い:信用売りした株式を買い戻して決済する
  • 現引き:信用買いの代金を支払い、現物株式として受け取る
  • 現渡し:保有する現物株式を差し入れ、信用売りを決済する

現引きには買付代金、現渡しには同一銘柄・同一数量の現物株式が必要です。受渡日や資金拘束も確認してください。

制度信用取引で失敗を防ぐチェックリスト

  • 対象銘柄が制度信用銘柄か貸借銘柄か確認した
  • 制度売りが可能か証券会社の画面で確認した
  • 返済期限をカレンダーへ記録した
  • 買方金利または貸株料を日数で試算した
  • 逆日歩が発生する可能性を確認した
  • 貸株注意喚起や申込停止措置を確認した
  • 増担保規制や証券会社独自規制を確認した
  • 代用有価証券と建玉を同じ銘柄へ集中させていない
  • 追証基準より十分に高い保証金維持率を保っている
  • 決算発表や権利付き最終日の日程を確認した
  • 強制決済時の手数料と処理時刻を確認した
  • 損失が保証金を超える可能性を理解した

制度信用取引に関するよくある疑問

制度信用取引は初心者でも利用できますか?

信用取引口座の審査に通過すれば利用できます。ただし、現物取引より仕組みが複雑で、保証金を超える損失が発生する可能性があります。

金利、追証、返済期限、信用売りの損失特性を理解してから利用する必要があります。

制度信用取引の期限は必ず6か月ですか?

最長6か月です。上場廃止、企業再編、証券会社の規制などにより、6か月より前に返済期限が設定される場合があります。

制度信用取引の金利はどの証券会社でも同じですか?

同じではありません。買方金利、貸株料、優遇条件、売買手数料は証券会社が定めます。

制度信用売りなら必ず逆日歩がかかりますか?

必ずかかるわけではありません。証券金融会社で株式が不足し、品貸入札による調達費用が発生した場合に支払いが必要になります。

一般信用売りなら費用を事前に確定できますか?

通常の貸株料や特別貸株料は確認できますが、保有日数が確定しなければ最終費用は決まりません。また、在庫事情による返済期限の設定や取扱変更が行われる場合があります。

制度信用の建玉を一般信用へ変更できますか?

通常、約定後に直接変更することはできません。制度信用建玉を返済し、一般信用で新規建てする必要があります。

制度信用買いで配当金を受け取れますか?

現物株主として配当金を直接受け取るのではなく、制度信用の権利処理に基づく配当落調整額を受け取る場合があります。税務上の扱いは現物配当と異なることがあります。

制度信用買いで株主優待を受け取れますか?

通常は受け取れません。信用買いでは株主名簿上の株主にならないためです。

一般信用と制度信用で追証の基準は違いますか?

同じ証券会社の国内信用口座では共通の保証金率で管理されることが一般的ですが、商品やコースによって異なる場合があります。証券会社の信用取引規程を確認してください。

まとめ:制度信用取引は期限・逆日歩・総費用を確認しよう

制度信用取引とは、証券取引所が選定した銘柄を対象に、取引所の共通ルールに基づいて行う信用取引です。

制度信用銘柄と貸借銘柄があり、一般に制度信用売りでは貸借銘柄であることが重要です。実際に買建・売建できるかどうかは、証券会社の取扱いや規制によって異なります。

制度信用取引の返済期限は最長6か月です。一般信用取引では、無期限、短期、日計りなど、証券会社が独自の返済期限を設定します。

信用買いでは買方金利、信用売りでは貸株料が発生します。制度信用売りでは、株式不足時に逆日歩が加わる場合があります。逆日歩は事前に確定できず、株主優待の価値や売買利益を上回る可能性もあります。

制度信用と一般信用を比較するときは、金利や手数料だけでなく、返済期限、売建在庫、逆日歩、特別貸株料、権利処理、強制決済条件まで確認しましょう。

本記事は、国内株式の制度信用取引および一般信用取引に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の証券会社、銘柄、取引方法を推奨するものではありません。信用取引には、価格変動、信用、流動性、金利、貸株料、逆日歩、追証、強制決済などのリスクがあり、差し入れた委託保証金を超える損失が発生する可能性があります。実際の取引では、利用する証券会社の契約締結前交付書面、信用取引規程、金利・貸株料、返済期限、規制情報を確認してください。

<参考サイト>

日本取引所グループ(JPX) / 東京証券取引所 / 日本証券金融 / 金融庁 / 日本証券業協会 / SBI証券 / 楽天証券

“`