証券会社アプリの安全性は?
国内で証券業務を行う会社には、原則として金融商品取引業者としての登録が必要です。また、証券会社は顧客から預かった金銭や有価証券を、自社の資産と分けて管理することが法律で義務付けられています。
適切に分別管理されていれば、証券会社が破綻しても、顧客資産は原則として返還されます。万一、分別管理に問題があり資産を円滑に返還できない場合には、日本投資者保護基金が1人当たり1,000万円を上限として補償する制度があります。
ただし、この制度は株価下落による損失や、投資先企業の破綻による損失を補償するものではありません。
証券会社の登録を確認する
聞いたことのない証券会社や海外業者のアプリを利用する前に、金融庁の金融事業者検索で会社名、電話番号、登録番号を確認します。
アプリやウェブサイトに登録番号が書かれていても、その番号を第三者が無断使用している可能性があります。表示された番号と会社名、所在地が金融庁の情報と一致しているかを確認してください。
証券会社アプリのログインで守るべき安全対策
公式アプリやブックマークからログインする
メール、SMS、SNS、検索広告に表示されたリンクからログインせず、公式アプリまたは自分で登録したブックマークを利用します。
「口座を停止します」「至急本人確認が必要です」と不安をあおり、偽サイトへ誘導するフィッシング詐欺があります。
パスキー・多要素認証を設定する
パスキーは、端末の生体認証やPINなどを使って本人確認する方法です。利用する正規ドメインと認証情報が結び付くため、一般的なパスワードよりフィッシングへの耐性が高い特徴があります。
利用できる場合は、次の機能を有効にしましょう。
- パスキー認証
- FIDO認証
- 生体認証
- ワンタイムパスワード
- SMS・電話番号認証
- ログイン通知
- 出金先変更時の追加認証
パスワードを使い回さない
メール、通販、SNSなどと証券口座で同じパスワードを使用すると、別のサービスから漏れた情報を使って不正ログインされる可能性があります。
推測されにくい固有のパスワードを使用し、取引パスワードもログインパスワードと同じにしないことが重要です。
ログイン通知と取引履歴を確認する
身に覚えのないログイン、注文、銘柄登録、出金先変更がないかを定期的に確認します。不審な操作を見つけた場合は、すぐにパスワードを変更し、証券会社の公式窓口へ連絡してください。
スマートフォン自体を保護する
- OSとアプリを最新状態にする
- 端末に画面ロックを設定する
- 不明な提供元のアプリを入れない
- 他人と端末を共有しない
- 機種変更前に認証解除やデータ移行を確認する
- 紛失時に遠隔ロックできるようにする
証券会社のログインができないときの確認手順
ログインIDと口座番号を混同していないか
証券会社によって、ログインID、ユーザーネーム、口座番号は異なる情報です。郵送書類、口座開設完了メール、公式アプリの案内を確認します。
アプリの種類が正しいか
同じ証券会社でも、日本株、米国株、FX、先物、投資信託でアプリが分かれていることがあります。総合口座のログイン情報を専用アプリへ入力しても、追加口座の開設が済んでいなければ利用できない場合があります。
認証用の電話番号やメールアドレスを確認する
登録した電話番号やメールアドレスが古いと、ワンタイムパスワードを受け取れません。公式窓口へ連絡し、本人確認を経て変更手続きを行います。
偽サイトの可能性を確認する
正しい情報を入力してもログインできず、何度もパスワードや認証コードを要求される場合は、入力を中止してください。偽サイトで認証情報を盗もうとしている可能性があります。
利用している証券会社がわからない場合
過去に開設した口座や、相続した株式がどの証券会社にあるかわからない場合は、次の順序で確認します。
1.メールや郵送物を確認する
次の言葉でメールを検索します。
- 口座開設完了
- 取引報告書
- 特定口座年間取引報告書
- 残高報告書
- NISA
- 配当金
- 証券
株主総会の案内や配当金計算書には、証券会社名が直接書かれていない場合があります。
2.銀行口座やクレジットカードの明細を確認する
証券口座への振込、即時入金、投信積立のカード決済などが記録されていないかを確認します。
3.税務書類を確認する
特定口座年間取引報告書や確定申告書の控えには、証券会社名が記載されています。
4.証券保管振替機構へ開示請求する
株式などの口座開設先がわからない場合、証券保管振替機構の「登録済加入者情報の開示請求」を利用すると、口座が開設されている証券会社や信託銀行などを有料で確認できます。
ただし、開示結果は保有銘柄や残高を直接証明するものではありません。過去に閉鎖した口座が表示されることもあります。開示結果を受け取った後、記載された証券会社の全店対応窓口へ問い合わせます。
証券会社の資産管理アプリを使う際の注意点
証券会社自身が提供する資産管理アプリのほか、複数の銀行・証券口座をまとめて表示する外部の資産管理アプリもあります。
連携方法を確認する
外部アプリを使う場合は、金融機関が認めたAPI連携か、ログイン情報を外部事業者へ預ける方式かを確認します。
証券会社のID、パスワード、取引暗証番号を、不明なアプリや事業者へ入力しないでください。
表示額が実際の売却可能額とは限らない
資産管理アプリに表示される評価額は、価格更新時刻、為替レート、未受渡取引などによって、証券会社の取引画面と異なる場合があります。
実際に注文や出金を行う際は、証券会社公式アプリの買付余力、出金可能額、保有残高を確認してください。
初心者が証券会社アプリで避けたい失敗
おすすめ表示だけで商品を買う
アプリ内のランキングや注目商品は、将来の値上がりを保証するものではありません。ランキングの集計期間、基準、リスク、手数料を確認してください。
成行注文で金額を確認しない
成行注文では価格を指定できません。注文が少ない銘柄や相場急変時には、想定より高い価格で買ったり、安い価格で売ったりする可能性があります。
NISA口座と特定口座を間違える
NISAで保有したい商品を特定口座で買った場合、購入後にそのままNISA口座へ移すことはできません。注文確認画面で口座区分を確認しましょう。
ポイント目的で不要な商品を買う
ポイントよりも、株価下落や信託報酬による損失のほうが大きくなる場合があります。ポイントは補助的な条件として比較してください。
一つの銘柄へ資金を集中する
アプリでは簡単に注文できますが、操作が簡単であることと、投資リスクが低いことは別です。複数の資産や地域への分散を検討する必要があります。
証券会社アプリに関するよくある疑問
証券会社アプリだけで口座開設から取引までできますか?
多くのネット証券ではスマートフォンで口座開設を申し込めます。ただし、本人確認方法、マイナンバー提出、追加口座の申込みなどにより、ウェブブラウザへ移動する場合があります。
証券会社アプリは無料ですか?
主要証券会社の公式アプリは、通常、無料でダウンロードできます。ただし、株式売買手数料、信用金利、投資信託の信託報酬などは別に確認が必要です。
アプリを削除すると保有株も消えますか?
アプリを削除しても、証券口座や保有商品は消えません。再び公式アプリをインストールし、本人認証を行えば確認できます。
複数の証券会社アプリを使ってもよいですか?
一般口座や特定口座は複数の証券会社で開設できます。ただし、NISA口座を利用できる金融機関は同一年に1社です。複数口座を使う場合は、資産や税務書類の管理が複雑になりやすい点に注意してください。
アプリのチャートだけで投資判断できますか?
チャートは過去の価格と出来高を分析する道具です。企業の利益、財務、決算、事業リスクなどは十分にわからないため、企業情報や開示資料も確認する必要があります。
証券会社が破綻したら資産はなくなりますか?
顧客資産が適切に分別管理されていれば、原則として返還されます。ただし、保有商品の価格下落や発行企業の破綻による損失は補償されません。
人気の証券アプリなら安全ですか?
利用者が多いことだけで安全性を判断することはできません。金融商品取引業者としての登録、正規アプリであること、認証方式、利用者自身のフィッシング対策を確認してください。
まとめ:証券会社アプリは目的・費用・安全性の3点で選ぼう
証券会社アプリは、株式や投資信託の注文、株価・チャートの確認、NISAの積立、資産管理などをスマートフォンで行うためのツールです。
使いやすいアプリは、投資目的によって異なります。株式を頻繁に売買する場合は板・チャート・注文機能、長期積立では資産推移・積立変更・NISA管理のわかりやすさを重視しましょう。
国内株式の手数料が無料でも、適用条件、単元未満株のスプレッド、信用取引金利、投資信託の信託報酬などが発生する場合があります。ポイント還元率だけでなく、投資商品そのものの費用とリスクを確認することが重要です。
安全に利用するため、金融庁の登録を確認し、公式アプリからログインしてください。パスキーや多要素認証、ログイン通知を設定し、メールやSNSのリンクからログインしないことが重要です。
本記事は、証券会社アプリや金融商品に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の証券会社、アプリ、金融商品、ポイントサービスを推奨するものではありません。株式や投資信託には価格変動、信用、為替、流動性などのリスクがあり、元本割れが発生する可能性があります。手数料、ポイント、アプリ機能、認証方法は変更される場合があるため、口座開設や取引の前に各社の最新情報、契約締結前交付書面、目論見書、取引ルールを確認してください。
<参考サイト>
金融庁 / 日本証券業協会 / 日本取引所グループ(JPX) / 日本投資者保護基金 / 証券保管振替機構 / J-FLEC 金融経済教育推進機構 / SBI証券 / 楽天証券 / マネックス証券 / 松井証券


