信託報酬等実額通知書は確定申告に必要?
個人が通常の資産運用として投資信託を保有している場合、信託報酬等実額通知書を確定申告書へ添付する必要は原則としてありません。
信託報酬は投資信託の財産から差し引かれ、費用控除後の基準価額に反映されています。投資信託を売却したときの譲渡損益も、この基準価額を基に計算されます。
そのため、通知書に記載された信託報酬を、売却手数料などと同じように確定申告で改めて差し引くことは通常ありません。別途差し引くと、同じ費用を二重に控除することになりかねません。
NISA口座なら確定申告には使用しない
NISA口座内の対象商品から生じた売却益や一定の分配金は非課税です。信託報酬等実額通知書は、NISAの税額を計算する書類ではありません。
通知書は、保有している投資信託のコストを確認し、商品選びや運用方針の見直しに役立てるための資料です。
特定口座や一般口座でも別途控除しない
特定口座や一般口座で保有している投資信託でも、信託報酬は基準価額に反映されています。個人の譲渡所得を計算するときに、信託報酬等実額通知書の金額を必要経費として別に加算するのが一般的な処理ではありません。
購入時手数料や売却時に直接負担した手数料とは扱いが異なるため、混同しないようにしましょう。
信託報酬等実額通知書の金額は経費にできる?
個人の一般的な資産運用では、通知書に記載された信託報酬を確定申告で独立した必要経費として申告することは通常ありません。
信託報酬を差し引いた後の基準価額で売却金額や評価額が決まっているためです。
ただし、法人が投資信託を保有している場合や、特殊な事業・会計処理に関係する場合は、個人の譲渡所得とは取扱いが異なる可能性があります。法人会計については、税理士や会計担当者へ確認してください。
信託報酬等実額通知書は保管する必要がある?
税金の計算に必須となる書類ではないため、特定口座年間取引報告書などと同じ税務上の重要性があるわけではありません。
ただし、次の目的で保管しておくと役立ちます。
- 前年と信託報酬の負担額を比較する
- 保有残高に対するコストを確認する
- 類似する投資信託と費用を比較する
- 金融機関からの説明内容を確認する
- 運用方針を見直す際の資料にする
電子交付された書類は閲覧期限後に確認できなくなる可能性があるため、必要に応じてPDFで保存しましょう。
SBI証券の信託報酬等実額通知書
SBI証券のNISAに関する公式案内では、つみたて投資枠で購入した投資信託の信託報酬等の概算値を、原則として年1回通知すると案内されています。
通知書が見つからない場合は、SBI証券へログインし、電子交付書面やNISA口座関連のお知らせを確認します。書面名称は交付時期や対象制度によって異なる場合があります。
次の点も確認しましょう。
- 通知対象となる年に投資信託を保有していたか
- NISAのどの投資枠で購入したか
- 対象商品がETFではないか
- 電子交付のお知らせメールが届いていないか
- 登録住所やメールアドレスが最新か
通知書の金額を口座へ入金したり、確定申告書へ転記したりする必要は原則としてありません。
楽天証券の信託報酬を確認する方法
楽天証券では、保有した投資信託について、間接的に負担した管理費用の概算額を確認できるサービスが提供されています。
信託報酬の概算額は、投資信託の保有残高、保有期間、信託報酬率などを基に計算されます。実際の基準価額から差し引かれた費用と完全に一致するとは限らないため、参考値として確認します。
楽天証券で費用を確認するときは、次の情報を合わせて確認すると比較しやすくなります。
- ファンド詳細画面の信託報酬率
- 実質的な運用管理費用
- トータルリターン
- 保有残高と平均取得価額
- 信託財産留保額の有無
信託報酬が低くても、運用損失が発生しないわけではありません。費用とリターンを分けて確認しましょう。
iDeCo・確定拠出年金にも信託報酬はかかる?
iDeCoや企業型確定拠出年金で運用商品として投資信託を選んだ場合も、商品ごとに信託報酬が発生します。
信託報酬は、通常の証券口座と同じように投資信託の財産から差し引かれ、基準価額へ反映されます。
ただし、NISAで交付される信託報酬等実額通知書と、iDeCoの取引明細や資産状況を知らせる書類は別のものです。
| 書類 | 主な目的 |
|---|---|
| 信託報酬等実額通知書 | NISA対象投資信託などの費用負担を確認する |
| iDeCoの取引明細・資産状況のお知らせ | 年金資産残高や取引状況を確認する |
| 小規模企業共済等掛金払込証明書 | iDeCo掛金の所得控除を受ける |
iDeCoの確定申告や年末調整で使用するのは、原則として掛金額を証明する「小規模企業共済等掛金払込証明書」です。信託報酬の金額を所得控除として別に申告することはできません。
信託報酬1.5%・1.65%は高い?
年1.5%または年1.65%という信託報酬は、年0.1%前後の商品と比べれば費用負担が大きくなります。ただし、料率だけで商品を良い・悪いと判断することはできません。
年1.5%前後の信託報酬が設定される商品には、次のようなものがあります。
- 企業調査や銘柄選定を行うアクティブファンド
- 海外市場や新興国へ投資するファンド
- 複数のファンドを組み合わせる商品
- 為替ヘッジや特殊な運用手法を用いる商品
- 資産配分の調整を運用会社が行う商品
費用に見合う運用成果が得られる保証はないため、同じ投資対象の商品と比較することが重要です。
信託報酬を比較するときの確認項目
- 税込と税抜のどちらで表示されているか
- 通常の信託報酬か実質信託報酬か
- 同じ指数や同じ資産へ投資する商品がないか
- 購入時手数料や信託財産留保額がないか
- 運用実績が費用控除後で表示されているか
- 純資産総額が安定しているか
- 分配金を含むトータルリターンはどうか
信託報酬等実額通知書が届いたときのチェック項目
- 書類名と対象期間を確認する
- 保有している銘柄と一致しているか確認する
- 信託報酬率が税込か税抜か確認する
- 通常の信託報酬と実質信託報酬を区別する
- 平均残高や算出方法を確認する
- 前年より金額が増えた理由を確認する
- 追加請求や振込みが不要な書類か確認する
- 必要に応じてPDFを保存する
信託報酬は、投資信託の運用・管理に必要な費用として、保有中に投資信託の財産から継続的に差し引かれます。公表される基準価額は、原則として信託報酬を控除した後の金額であるため、口座から別に支払う必要はありません。
信託報酬等実額通知書も追加料金の請求書ではなく、保有中に負担した費用の概算額を確認するための書類です。確定申告への添付や、必要経費としての別途計上は通常不要です。通知書の金額だけを見るのではなく、投資対象、運用実績、実質信託報酬、信託財産留保額、トータルリターンを合わせて確認しましょう。
<参考サイト>金融庁 / 国税庁 / 日本証券業協会 / 投資信託協会 / iDeCo公式サイト / SBI証券 / 楽天証券 / マネックス証券




