株価収益率(PER)とは?計算式・目安・高い低いの見方を初心者向けに解説

初心者向け・株価収益率の正しい使い方

PERは、企業の株価水準を確認するための便利な指標ですが、PERだけで株価の上昇や下落を予測することはできません。次の手順で、企業の利益や財務情報と合わせて使いましょう。

手順1.実績PERか予想PERかを確認する

最初に、表示されているPERがどのEPSを使っているか確認します。同じ企業のPERを時系列で比べる場合も、実績値と予想値を混ぜないことが重要です。

予想PERを使う場合は、会社予想なのか、複数のアナリスト予想を集計した数字なのかも確認しましょう。

手順2.同業他社と比較する

事業内容や収益構造が近い企業を複数選び、PERを比較します。単に同じ業種区分に属しているだけでなく、主力事業、顧客層、成長段階、海外売上比率などが近いかを確認すると、比較の精度が上がります。

手順3.過去のPERと比較する

同じ企業の過去のPER推移を見ると、現在の評価が過去と比べて高いのか低いのかを確認できます。

ただし、事業内容や利益率が大きく変化した企業では、過去と同じPERへ戻るとは限りません。企業買収、新規事業、事業売却、財務改善などによって、適正と考えられる評価水準が変わることがあります。

手順4.EPSの変化を確認する

PERが下がった理由が、株価の下落なのか、EPSの増加なのかを確認します。

  • 株価下落でPERが低下:将来の業績悪化が警戒されている可能性がある
  • EPS増加でPERが低下:利益成長に株価上昇が追いついていない可能性がある
  • 一時利益でEPSが増加:見かけ上だけ低PERになっている可能性がある

同じ低PERでも、数字が変化した理由によって意味は異なります。

手順5.利益の質を確認する

当期純利益が増えていても、本業の売上や営業利益が伸びているとは限りません。資産売却益、税負担の減少、為替差益などが利益を押し上げている場合があります。

売上高、営業利益、営業キャッシュフローなどを確認し、利益が継続的に生み出されているかを見ましょう。

手順6.成長性と財務状態を確認する

高PER企業では、その評価を正当化できる利益成長が期待できるかが重要です。低PER企業では、借入金の負担、利益の減少、市場縮小など、低く評価されている理由を確認します。

PERに加えて、次の情報を確認すると、企業を多面的に分析できます。

  • 売上高と営業利益の推移
  • EPSの成長率
  • ROEや利益率
  • 営業キャッシュフロー
  • 有利子負債と現預金
  • PBRと配当方針
  • 決算短信に記載された業績予想

株価収益率でよくある誤解

PERが低い銘柄は必ず上がる?

必ず上がるわけではありません。PERが低い背景に、将来の減益、事業環境の悪化、財務上の問題などがある場合、株価がさらに下落する可能性があります。

低PERは、割安の可能性を調べる出発点であり、買いを保証するシグナルではありません。

PERが高い銘柄は買ってはいけない?

高PERでも、利益が継続的に成長すれば、将来のEPS増加によってPERが下がる可能性があります。一方、成長期待が高すぎる場合は、少しの業績悪化でも株価が大きく下落することがあります。

現在の倍率だけでなく、市場がどの程度の利益成長を期待しているかを考える必要があります。

PERが0倍なら非常に割安?

通常、利益がゼロであればPERの分母がゼロになるため、PERは計算できません。表示画面で0倍に見える場合は、データの未反映、表示上の仕様、欠損値などの可能性があります。

必ず決算資料や情報サービスの注記を確認してください。

マイナスPERは低いので割安?

マイナスPERは、一般にEPSがマイナス、つまり赤字であることを意味します。黒字企業の低PERと同じように比較することはできません。

赤字企業を分析する場合は、売上高、営業損益、キャッシュフロー、純資産、赤字の原因、黒字化の見通しなど、別の情報を確認する必要があります。

PERが同じなら同じ評価?

PERが同じでも、企業の成長率、財務状態、利益の安定性、事業リスクが違えば、投資判断上の意味は異なります。

毎年安定して利益を増やしている企業のPERが20倍の場合と、利益が大きく上下する企業のPERが20倍の場合を、同じ評価と考えることはできません。

PERを利用するときのチェックリスト

  • 株価収益率とPERは同じ指標だと理解する
  • PERは株価をEPSで割って計算する
  • 実績PERと予想PERを区別する
  • 同業種・同じ計算条件で比較する
  • 一律の倍率だけで割高・割安を決めない
  • PERが変化した原因を株価とEPSに分けて確認する
  • 赤字企業やEPSが小さい企業ではPERを重視しすぎない
  • 一時的な特別利益や損失を確認する
  • PBR、ROE、キャッシュフロー、財務状態も確認する
  • 過去の数値は将来の株価や利益を保証しないと理解する

まとめ:株価収益率は利益に対する株価水準を見る指標

株価収益率とは、現在の株価が1株当たり利益の何倍に相当するかを示す指標です。アルファベットではPERと表し、英語ではPrice Earnings Ratioといいます。株価収益率とPERに指標としての違いはありません。

計算式は「株価÷EPS」です。PERが高ければ利益に対する株価評価が高く、低ければ相対的に低いことを示しますが、高いから割高、低いから割安と断定することはできません。

PERを見るときは、実績値か予想値かを確認し、同業他社、業界平均、過去の自社水準などと比較しましょう。さらに、利益の成長性、財務状態、一時的な損益、キャッシュフロー、PBRなども合わせて確認することが重要です。

本記事は、株価収益率や株式投資に関する一般的な情報提供を目的としたもので、特定の企業、銘柄、金融商品、売買方法を推奨するものではありません。株式投資には価格変動、業績悪化、信用、流動性などのリスクがあり、元本割れが発生する可能性があります。実際の取引では、企業の決算資料や金融機関が提供する契約締結前交付書面、手数料、リスク説明を確認し、ご自身の資産状況、投資経験、目的、損失許容度に基づいて判断してください。

<参考サイト>

日本取引所グループ(JPX) / J-FLEC 金融経済教育推進機構 / 企業会計基準委員会(ASBJ) / Investor.gov(米国証券取引委員会) / 野村證券

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