譲渡所得の内訳書の書き方
土地や建物を売却した場合は、確定申告書第一表・第二表、申告書第三表(分離課税用)に加えて、原則として「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」を作成します。
内訳書に記載する主な内容
- 売却した土地・建物の所在地、種類、面積
- 売買契約日、引渡日、売却代金
- 買主の氏名または名称、所在地
- 購入日、購入先、購入代金
- 建物の減価償却費相当額
- 仲介手数料、印紙代、測量費などの譲渡費用
- 適用する特別控除や特例
- 長期・短期の区分と課税譲渡所得金額
売却時と購入時の売買契約書、仲介手数料の領収書、登記事項証明書、固定資産税の精算書などを確認しながら記載します。金額を推測で記入せず、資料に基づいて記載することが重要です。
譲渡所得の内訳書に公式Excel版はある?
国税庁が公表している土地・建物用の譲渡所得の内訳書は、現在、公式サイトではPDF形式で提供されています。「譲渡所得の内訳書 Excel」としてインターネット上に掲載されている独自ファイルを利用する場合は、計算式や様式が最新の制度に対応しているか注意が必要です。
正式な申告には、申告する年分の国税庁公式様式または国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用するのが安全です。作成コーナーでは、土地・建物等の譲渡所得を選択し、画面の案内に従って売却金額や取得費などを入力できます。
株式の譲渡所得と源泉徴収
株式等の譲渡益には、原則として所得税等15.315%、住民税5%を合わせた20.315%の税率が適用されます。
証券会社の特定口座で「源泉徴収あり」を選択している場合は、口座内の譲渡益から税金が源泉徴収されるため、その口座の利益について確定申告をしないことも選択できます。
一方、複数の証券会社の損益を通算する場合や、譲渡損失を翌年以後に繰り越す場合は、確定申告が必要です。源泉徴収ありの特定口座を申告すると、その譲渡所得が合計所得金額などに含まれ、扶養や各種制度の判定に影響する場合があります。
譲渡所得がふるさと納税に与える影響
ふるさと納税の自己負担を原則2,000円に抑えられる上限額は、所得や住民税の所得割額などによって変わります。不動産や株式の譲渡所得を申告すると、その年の所得や翌年度の住民税額が増え、ふるさと納税の上限額も変動する可能性があります。
ただし、譲渡所得の金額や適用する特別控除によって計算結果は大きく異なります。給与収入だけを前提とした簡易シミュレーションでは、正確な上限額を計算できないことがあります。
また、不動産の譲渡所得などを確定申告する場合、ふるさと納税ワンストップ特例の申請は無効になります。ワンストップ特例を申請済みであっても、確定申告書にその年のふるさと納税をすべて記載してください。
住民税非課税世帯や扶養から外れる可能性
譲渡所得が生じると、翌年度の住民税や、住民税非課税世帯に該当するかどうかの判定に影響する可能性があります。住民税は原則として前年の所得を基に計算されるため、2026年中の譲渡所得は主に2027年度の住民税に反映されます。
特に注意したいのは、土地・建物の分離課税の譲渡所得について、住民税の非課税判定や扶養判定などで使用される「合計所得金額」には、原則として特別控除を差し引く前の金額が含まれることです。
そのため、マイホームの3,000万円特別控除によって課税譲渡所得や納税額がゼロになった場合でも、配偶者控除、扶養控除、住民税非課税判定などに影響する可能性があります。
また、国民健康保険料、介護保険料、医療費の自己負担区分、各種給付金などは、それぞれ所得の判定方法が異なります。特定口座の株式譲渡所得を申告するかどうかによっても結果が変わる場合があるため、市区町村や加入している保険制度の窓口で確認しましょう。
税理士へ依頼したほうがよいケース
譲渡所得の確定申告は自分で行うこともできますが、次のような場合は税理士への相談を検討する価値があります。
- 不動産の取得費が不明で資料も少ない
- 相続や贈与で取得した不動産を売却した
- 土地と建物の売却代金を分ける必要がある
- 共有名義の不動産を売却した
- マイホームや空き家の特例を利用したい
- 過去に買換え特例などを利用している
- 複数の不動産や株式を同じ年に売却した
税理士報酬には全国共通の一律料金があるわけではありません。売却金額だけでなく、取得費の調査、共有者の人数、相続関係、適用する特例、必要書類の整理などによって料金が変わります。依頼前に、業務範囲と追加料金の有無を確認してください。
申告前に確認したい最終チェック
- 売却代金だけでなく固定資産税等の精算金も確認したか
- 購入時の契約書や通帳など取得費の資料を探したか
- 建物の減価償却費相当額を差し引いたか
- 維持管理費と譲渡費用を混同していないか
- 所有期間を売却年の1月1日時点で判定したか
- 3,000万円特別控除などの適用要件を確認したか
- 特例で税額がゼロでも確定申告が必要か確認したか
- ふるさと納税を確定申告書に記載したか
- 扶養、住民税、健康保険料への影響を確認したか
譲渡所得は、取得費や特例の判断によって税額が大きく変わります。売却代金だけを見て計算せず、購入時から売却時までの契約書、領収書、通帳、登記資料を整理したうえで申告を進めることが大切です。判断が難しい場合は、税務署や税理士へ早めに相談しましょう。
<参考サイト>国税庁 / e-Tax(国税電子申告・納税システム) / 東京都主税局 / 横浜市 / 武蔵野市
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