代用有価証券と貸株サービスの関係
貸株サービスとは、保有する株式を証券会社へ貸し出し、貸株金利を受け取る仕組みです。
通常の貸株と代用有価証券を同時に利用できるかどうかは、証券会社やサービスによって異なります。
貸株へ振り替えると代用評価がなくなる場合がある
SBI証券の通常の貸株サービスでは、代用有価証券から貸株へ振り替えた株式は、原則として代用有価証券から除外されます。振替処理中に掛け目が0%となり、保証金維持率が低下する場合もあります。
貸株金利を得るために担保株を移した結果、追証が発生する可能性があるため、振替前に保証金率を確認する必要があります。
担保のまま貸株できるサービスもある
楽天証券の信用貸株、松井証券の貸株サービス、マネックス証券の代用有価証券貸出など、担保としての評価を維持しながら貸株金利を得られるサービスもあります。
ただし、次の点は会社ごとに異なります。
- 貸株の対象銘柄
- 代用掛け目
- 配当金や株主優待の扱い
- 株主番号の継続性
- 貸株金利の税務上の扱い
- 売却時の解除方法
- 証券会社破綻時の分別管理の扱い
「代用有価証券も貸株可能」という表示だけで判断せず、担保評価と株主権利がどう扱われるかを確認しましょう。
代用有価証券で追証が発生する仕組み
追証とは、信用取引の保証金維持率が証券会社の定める最低基準を下回り、追加の保証金を求められる状態です。
一般的な保証金維持率は、次の考え方で計算します。
保証金維持率=実質保証金÷信用建玉代金合計×100
実質保証金=保証金現金+代用有価証券評価額-建玉評価損-諸経費±未受渡し決済損益
追証が発生する計算例
次の条件で信用取引を行っているとします。
- 信用建玉代金:150万円
- 保証金現金:20万円
- 代用株式の時価:50万円
- 代用掛け目:80%
- 建玉評価損:0円
代用有価証券評価額は40万円です。
50万円×80%=40万円
実質保証金は60万円、保証金維持率は40%です。
(20万円+40万円)÷150万円×100=40%
その後、代用株式の時価が30万円へ下がり、信用建玉にも16万円の評価損が発生したとします。
代用評価額=30万円×80%=24万円
実質保証金=20万円+24万円-16万円=28万円
保証金維持率=28万円÷150万円×100=約18.7%
最低保証金維持率が20%の証券会社であれば、追証の対象になる可能性があります。
担保株と信用建玉が同じ銘柄の「二階建て」
代用有価証券として差し入れている現物株と同じ銘柄を信用買いする取引は、一般に二階建て取引と呼ばれます。
同じ銘柄が値下がりすると、次の2つが同時に起こります。
- 信用買い建玉の評価損が増える
- 現物株式の代用評価額が減少する
一方向の株価下落が、分子となる実質保証金を二重に減らすため、保証金維持率が急激に低下します。
同一銘柄でなくても、半導体株を担保にして別の半導体株を信用買いするなど、値動きが似た銘柄へ集中すれば、同様の危険があります。
代用有価証券のメリット
保有資産を売却せずに担保として使える
長期保有している株式や投資信託を売却せず、信用取引の委託保証金として活用できます。
売却しないため、通常は保有株式の配当や株主優待を受け取る権利を維持できます。ただし、貸株サービスとの併用や権利確定日の状態によって扱いが変わります。
現金を別の用途へ残せる
現金をすべて保証金として拘束せず、株式や投資信託を担保にすることで、口座内の資金を効率的に使える場合があります。
投資信託を保有しながら信用取引できる
対象となる投資信託を長期保有しながら、その評価額の一部を信用取引の担保として利用できる証券会社があります。
代用有価証券のデメリット
担保そのものが値下がりする
現金保証金は額面が株価変動によって減りませんが、株式や投資信託は日々価格が変動します。
信用建玉が予想どおりに動いていても、担保資産が値下がりすれば保証金維持率が低下する可能性があります。
追証の発生が早くなる場合がある
相場全体が下落すると、信用建玉と代用有価証券が同時に値下がりします。現金だけを保証金とする場合よりも、追証までの余裕が急速に小さくなることがあります。
掛け目変更で突然評価額が減る
株価が変わらなくても、証券会社が掛け目を80%から50%や0%へ変更すれば、保証金は減少します。
自由に売却・出庫できない場合がある
必要な担保として拘束されている間は、代用から外したり他社へ移管したりできる数量が制限されます。
配当・優待・貸株の管理が複雑になる
代用預り、保護預り、貸株、NISAなど複数の預り区分があると、配当金、株主優待、売却順序、株主番号の扱いが複雑になります。
取引額を増やしすぎやすい
保有資産が担保として自動評価されると、現金を追加していなくても信用建余力が増えます。余力があることと、その金額まで取引してよいことは同じではありません。
信用取引では、差し入れた保証金を超える損失が発生する可能性があります。
代用有価証券を安全に管理するポイント
- 信用建余力の上限まで取引しない
- 保証金の一部を現金で保有する
- 代用資産と信用建玉を同じ銘柄・業種へ集中させない
- 掛け目変更のお知らせを確認する
- 投資信託の基準価額更新後も維持率を確認する
- 売却・貸株振替前に保証金維持率を試算する
- NISA資産が保証金へ含まれていないことを確認する
- 決算発表など重要イベント前に建玉を減らす
- 追証と現金不足を別々に確認する
- 証券会社ごとの代用不適格銘柄を確認する
代用有価証券に関するよくある疑問
代用有価証券評価額合計は現金として引き出せますか?
そのまま現金として引き出すことはできません。保有する株式や投資信託を担保として現金換算した評価額です。現金化するには、原則として商品を売却する必要があります。
代用有価証券を使うと売却できなくなりますか?
売却できる場合がありますが、売却によって保証金が減少します。保証金不足となる数量は、担保から外したり売却したりできない場合があります。
代用有価証券の掛け目は必ず80%ですか?
必ず80%ではありません。銘柄、商品、証券会社、利用する取引によって異なります。信用取引では80%、FXでは70%など、同じ株式でも異なることがあります。
NISAの株式は代用有価証券になりますか?
SBI証券、楽天証券、マネックス証券などでは、NISA預りの株式・投資信託は代用有価証券の対象外です。証券会社の最新ルールを確認してください。
投資信託はすべて代用有価証券になりますか?
すべてではありません。証券会社が指定する国内籍投資信託などに限られます。外国籍投資信託、外貨建MMF、NISA預りなどは対象外になる場合があります。
代用不適格になると株式を失いますか?
代用不適格になっただけで株式を失うわけではありません。担保としての評価額が0円になります。ただし、保証金不足が発生し、追証を解消できなければ、証券会社が建玉や保有資産を売却する可能性があります。
代用有価証券を貸株に出せますか?
証券会社によって異なります。通常の貸株へ振り替えると代用評価がなくなる会社もあれば、担保のまま貸株できる専用サービスを提供する会社もあります。
代用有価証券なら元手0円で信用取引できますか?
現金を新たに入金せず取引できる場合はありますが、元手が0円という意味ではありません。担保にした株式や投資信託が自己資産であり、その資産を含めて損失リスクを負います。
まとめ:代用評価額は現金ではなく値動きする担保
代用有価証券とは、信用取引などで必要となる現金の代わりに、担保として差し入れる株式や投資信託などです。
代用有価証券評価額は、評価単価に数量と掛け目を乗じて計算します。国内上場株式や一定の投資信託では、通常80%以下の掛け目が使われますが、証券会社や銘柄の状態によって50%や0%へ変更される場合があります。
代用有価証券評価額合計は、口座内で担保として評価されている株式や投資信託の評価額を合計した数字です。現金残高や自由に出金できる金額ではありません。
NISA口座の株式・投資信託は、主要ネット証券では信用取引の代用対象外です。投資信託やFXで利用できる商品、掛け目、売却・解除方法も証券会社によって異なります。
代用有価証券には、保有資産を売却せずに担保として活用できるメリットがあります。一方、担保自体が値下がりし、信用建玉の評価損と同時に保証金維持率を下げることが最大のデメリットです。
特に、代用株と信用買い建玉を同じ銘柄や業種へ集中させる二階建て取引では、追証リスクが急激に高まります。信用建余力を使い切らず、現金保証金を一定額残し、掛け目変更や代用不適格のお知らせを継続して確認しましょう。
本記事は、代用有価証券、信用取引、FXなどに関する一般的な情報提供を目的としており、特定の証券会社、金融商品、銘柄、取引方法を推奨するものではありません。信用取引やFXには価格変動、信用、流動性、追証、ロスカット、強制決済などのリスクがあり、差し入れた担保を超える損失が発生する可能性があります。実際の取引では、利用する証券会社の契約締結前交付書面、代用有価証券一覧、掛け目、保証金率、取引ルールを確認してください。
<参考サイト>
日本取引所グループ(JPX) / 金融庁 / 日本証券業協会 / SBI証券 / 楽天証券 / マネックス証券 / 松井証券
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