投資信託は代用有価証券にできる?
証券会社が対象としている投資信託であれば、信用取引の代用有価証券として利用できる場合があります。
2026年7月時点で、SBI証券、楽天証券、マネックス証券などは、一定の国内籍投資信託を信用取引の担保として取り扱っています。
投資信託の代用評価額
投資信託は通常、1万口当たりの基準価額を使って評価します。
投資信託の代用評価額=保有口数÷10,000×基準価額×掛け目
10万口を保有し、1万口当たりの基準価額が12,000円、掛け目が80%の場合を考えます。
10万口÷10,000×12,000円×80%=96,000円
実際の計算では、端数処理、基準価額の採用日、分配金コースなどが証券会社ごとに異なる場合があります。
投資信託を担保にする際の注意点
- すべての投資信託が対象ではない
- 外国籍投資信託は対象外になる場合がある
- MMFや外貨建MMFは対象外になる場合がある
- NISA預りの投資信託は対象外になる場合が多い
- 売却注文中や分配金コース変更中は振替できない場合がある
- 基準価額の更新は原則として1日1回である
投資信託は複数資産へ分散されていても、元本保証ではありません。海外株式型や新興国型では、株価と為替の変動によって基準価額が大きく下落する場合があります。
代用有価証券と証拠金・保証金の違い
代用有価証券は、現金に代わって差し入れる「担保となる資産」です。証拠金や保証金は、取引を行うために必要となる担保全体を指します。
| 言葉 | 主な意味 |
|---|---|
| 委託保証金 | 株式の信用取引で必要となる担保 |
| 証拠金 | 先物・オプション取引などで必要となる担保 |
| FX保証金 | 外国為替証拠金取引で必要となる担保 |
| 代用有価証券 | 現金の代わりに保証金・証拠金として差し入れる有価証券 |
同じ株式を、信用取引、FX、先物・オプションの複数口座へ同時に全額担保として使えるわけではありません。利用する取引口座へ振り替え、各商品のルールに従って管理します。
FXで代用有価証券を使える?
FXで株式を担保にできるかどうかは、FX会社や証券会社のサービスによって異なります。すべてのFX口座で代用有価証券を利用できるわけではありません。
SBI証券のFX株券担保サービスでは、一定の国内上場株式をFX取引の担保として利用できます。2026年7月時点の通常掛け目は、原則として前営業日の時価評価額の70%以下です。
信用取引での通常掛け目が80%でも、FX担保では70%になるなど、同じ株式でも利用する取引によって評価額が異なる場合があります。
FX代用有価証券の主な注意点
- 信用取引とは別の申込みや審査が必要になる場合がある
- 利用できるのは国内上場株式だけの場合がある
- 投資信託をFX担保にできない場合がある
- 株式と為替の両方が同時に下落する可能性がある
- ロスカットがあっても保証金を超える損失が発生し得る
- 売却前に保護預りへの振替が必要になる場合がある
株式を担保にしたFXは、現金を使わずに取引を始められる場合がありますが、無料で損失なく取引できるという意味ではありません。担保株の値下がりと為替損失が同時に発生する危険があります。
代用有価証券を売却できる?
代用有価証券として差し入れている株式や投資信託でも、証券会社のルールに従って売却できる場合があります。
ただし、売却すると担保評価額が減少します。代わりとなる現金や別の代用有価証券がなければ、保証金維持率が低下し、信用新規建余力が減少したり、追証が発生したりする可能性があります。
売却前に確認する項目
- 代用有価証券の引出可能額
- 売却後の保証金維持率
- 信用建玉の評価損
- 未受渡しの決済損
- 追証や不足金の有無
- 売却代金の受渡日
- 現金保証金へ自動振替される金額
売却代金は、注文が成立した瞬間に自由な現金になるとは限りません。受渡日までは未受渡しの代金として管理され、信用取引の担保へ充当される場合があります。
FX担保株を売却する場合
SBI証券のFX株券担保サービスでは、原則として、FX代用担保から保護預りへ振り替えた後に売却します。
代用担保の状態で売却した場合は、売却代金の受渡日に、売却時点のFX代用評価額に相当する金額がFX保証金現金へ自動的に振り替えられる仕組みがあります。
その売却代金を使って別の商品を購入すると、受渡日に現金不足が発生する可能性があるため注意が必要です。
代用有価証券を解除する方法
代用有価証券の「解除」とは、一般に、信用取引などの担保から外し、通常の保護預りへ戻すことを意味します。証券会社の画面では「代用から保護預りへ振替」「保証金から引出し」などと表示されます。
代用から外せるのは、通常、必要保証金を上回る余裕がある範囲です。
次の状態では、解除や振替が制限される場合があります。
- 解除後に最低保証金率を下回る
- 追証が発生している
- 現金不足や未解消の債務がある
- 対象銘柄に売却注文などが出されている
- 受渡しが完了していない
- 貸株や別の担保サービスへ振替処理中である
FX株券担保サービス自体を解約する場合は、担保にしている株式をすべて保護預りへ戻してから手続きする必要がある証券会社もあります。
代用有価証券不適格とは?
代用有価証券不適格とは、保有する有価証券が、信用取引などの担保として受け入れられない状態です。
代用不適格であっても、必ずしもその商品を保有・売買できないという意味ではありません。担保としての評価額が0円になるという意味です。
代用不適格になりやすい商品・状態
- NISA口座で保有する株式や投資信託
- 証券会社が取り扱わない市場の銘柄
- 外国株式や外国籍投資信託
- 外貨建MMFなど対象外の商品
- 貸株サービスで貸出中の株式
- 上場廃止や整理銘柄指定が予定されている銘柄
- 信用状態や流動性に問題があると判断された銘柄
- 売買停止や重要な規制の対象となった銘柄
- 新規上場後、所定の評価開始日を迎えていない銘柄
具体的な不適格基準は証券会社によって異なります。ある証券会社で担保として使える投資信託が、別の証券会社では対象外になる場合があります。
楽天証券での代用有価証券の主な取扱い
楽天証券の国内信用取引では、対象となる国内株式、ETF、ETN、REIT、一定の株式投資信託などを代用有価証券として利用できます。通常掛け目は原則80%です。
一方、次のような資産は、国内信用取引の代用対象外とされています。
- NISA口座で保有する株式や投資信託
- 外国株式
- 債券
- 外貨資金
- 金・プラチナ
- MMF
- 通常の貸株サービスで貸出中の株式
- 証券担保ローンの担保に設定している株式
楽天証券には、代用有価証券や保証金の振替を管理する「らくらく担保」があります。また、信用取引の担保にしている株式を貸し出す「信用貸株」の仕組みもあります。
代用有価証券の最大の注意点は、担保株と信用建玉の損失が同時に膨らむことです。次のページでは、貸株・追証・デメリットと安全な管理方法を解説します。





